内容説明
甘美で悲痛な自伝的回想、三島由紀夫、伊丹十三、三宅一生、藤田嗣治らを論じた卓抜な人物スケッチ、悲劇のマラソンランナー円谷幸吉を描いた幻の傑作長篇評論「朽ちぬ冠」も収録。
目次
第1章 朽ちぬ冠(東邦的感覚のかおり―ボードレールの詩の中に見つけた“アロム”;母のおもかげ ほか)
第2章 女のエッセンス―日本の女優たち(「良い女」の輝き―岩下志麻;岸田今日子の気品 ほか)
第3章 女傑の時代(アイリス・マードックの魅力;女の野球 ほか)
第4章 愛の輪廻について(桜からさつきへ;スタビスキーという馬名 ほか)
著者等紹介
虫明亜呂無[ムシアケアロム]
1923年東京生れ。46年、早稲田大学文学部仏文科を卒業後、同大文学部副手を経て、58年、ドナルド・リチイの『映画芸術の革命』(昭森社)の翻訳を手がける。『映画評論』編集部に所属。その後、フリーとなり、スポーツ、文芸批評、映画、音楽、演劇、旅、ギャンブル、恋愛論、女性論など幅広い分野で名筆を振るった。83年、脳血栓で倒れ、八年間にわたる闘病生活の末、91年6月、肺炎のために死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nonicchi
2
図書館でこの本を手にとりました。中学生の頃、「ベルばら」の池田理代子さんとの対談で虫明さんのお名前を記憶していたので。こんな素敵な文章を書かれる方だったのですね。今、こういう文章を書かれる方は正直思いつかないです。もっと早く読みたかったです。2013/02/16
nora
0
美しい文章に酔った。ただし、華麗な文章が、リアルな現実から離れて存在しているように感じるところもあったような・・・。2011/05/19
ラム
0
「女の足指…」に続く高崎俊夫編 独特のロマンティシズム溢れる文体 主に昭和4、50年代発表のもの 冒頭、諏訪根自子(当初名前は伏せてある)の家出に託して自伝的回想を綴る 音楽家を目指すが、やがて身近に音楽を感じて生きることに意義を見出す 「朽ちぬ冠」の円谷幸吉の悲劇は胸に迫り出色 日本の女優たちの章は「演技ではなく、存在する女が、僕らをとらえる」演技者の魅力として女優を評価 本書は特に定評ある人物スケッチと女の性、心理を追求した作家の目から見た映画や文学作品の論考が中心 虫明はもっと評価されてしかるべき2021/05/22