内容説明
故郷・バダルプルの宮殿の一画にある小さな庭は、長い遍歴の果てに、ようやくめぐり会った魂の拠り所。母はオスマン帝国皇女、父は北インドのバダルプル藩王。にもかかわらずその娘は、フランスで孤児として成長した。出自の知れない孤独、心の病、父親との愛憎、異母弟との骨肉の争い…。東洋と西洋の狭間で果てしない自分探しが続く。中東・イスラーム問題の渦中を生きる作家、ケニーゼ・ムラトの壮大なる自伝的小説。
著者等紹介
ムラト,ケニーゼ[ムラト,ケニーゼ][Mourad,Keniz´e]
1939年、パリ生まれ。ソルボンヌ大学で心理学と社会学を専攻。フランスの雑誌「ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール」誌の中東特派員を務めるなど、ジャーナリストとして活躍した後、執筆活動に入る
井上真希[イノウエマキ]
1960年、北海道生まれ、青森市育ち。早稲田大学第一文学部人文専攻卒業。複合文化施設勤務を経て独立し、翻訳、著述、編集に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mana
1
「皇女セルマの遺言」のセルマの娘の自伝。ちょっと冗長だけど、まあまあ面白かった。ケニーゼが自己が確立し切れてなくてフラフラと環境や周囲の人物の影響に揺れ動くので、それが読んでてストレスになるといえばなるかも。でも特別エゴが強いとかは思わなかった。最後に彼女がどうなったのかはとても気になる。2021/08/15
ゆまち
0
オスマン帝国の皇女とインドのムスリム藩王を両親に持つジャーナリストの自伝的小説、なんですが。端々に著者の「自分だけは傷つきたくない」というエゴが見えて読むのが苦痛になってしまいました。小説と言い切るには自己を客観視しきれていませんし、ドキュメンタリーとしては非常に不実。どちらかに徹してほしかった気がします。不幸な生い立ちだからって、いやしくもジャーナリストを名乗る人間が杜撰にものを書いていい言い訳にはならないのですよ。2010/09/06