感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumicomachi
0
2011年刊だが、それより30年程前に短歌誌「みぎわ」に連載された文章がもとになった本らしい。リルケやゲーテ、マルティン・ブーバーやシモーヌ・ヴェイユ、そしてさまざまな先行研究を参照、引用しながらも自らの体験と体感を大切にして考察を深めていく誠実な論考である。八木重吉と同じくキリスト者である著者ならではの視点もこの論には欠かせないものとなっている。簡素で心に沁みる重吉の詩を多彩な角度から味わい、最後にはまた詩そのものの前に立ちもどりたいと思わせられる読書であった。歌人でもある花山周子氏による装丁も魅力的。2019/03/06