感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
33
四十代を越えてフリーランスになり、ジャズや映画を、もっと言えばアメリカのミステリを「勉強」しまくった植草甚一の足取りをスマートに追った好著。なるほどチャートで整理出来ることしか書かれてないきらいはある。つまり、ナマの植草甚一の姿が浮かび上がらないのだ。だが、その分数多くの文献を狩猟しフットワークも軽く迫ってみせたその挑み方はなかなかと思わされた。植草甚一はニヒリストだった、という指摘が面白い。意味を求める知識人ではなく、享楽(宮台真司に倣って「強度」と呼ぼうか)を求める読者であり、楽しく勉強した人だったと2019/11/10
緋莢
13
図書館本。1967年に刊行された『ジャズの前衛と黒人たち』から、亡くなった後に出版された『退屈の利用法』、 『鬼平対甚一』までの著作をレビューした本。「はじめに」で、『スイングジャーナル』誌に発表された「面会謝絶のジャズ」(生前最後に発表された原稿らしい)が引用されているのですが、<この文体は簡単には真似ることの出来ない、植草甚一だけのきわめてオリジナルなものであり> と書かれているのも納得(続く2024/07/08
へへろ~本舗
4
おお、懐かしい!ファンキーで博識でハイカラだったJJ氏の全著作を取り上げ解説するとともに植草氏についても記載している。家にも数冊あるけど、ジャズとミステリーと散歩と映画そして買い物が好きな好奇心あふれる人だった。彼の文体は饒舌に滔々と流れて特徴のあるものだった。「ぼくは歳をとったんで興味のスコープが広がったんだ」。植草氏の初めての本格的な著作の出版はなんと59歳の時であったとは驚き!2021/02/05
青縁眼鏡
2
植草甚一さんを対象とした勉強の本です。2019/04/24
kokada_jnet
2
植草甚一の独特の文章は、自分は読んでも読んでも全然あたまに入ってこないので。これ読んで「そういう人だったのか」と勉強になった。大谷氏ならではのジャズ史的分析もあり。ミステリの人たちにも、是非、今の視点からの植草甚一再評価をしてほしいね。2012/09/09