著者等紹介
ダルレ,エマニュエル[ダルレ,エマニュエル][Darley,Emmanuel]
1963年生まれ。小説を2作品発表した後、戯曲を書き始める。99年より学校などで劇作のワークショップも行い、青少年向けの作品もある。『火曜日はスーパーへ』はダルレの代表作。現代に生きる人々の孤独や苦悩を詩的にユーモアを交えて軽やかに描くのが特徴。小説や戯曲を中心にさまざまな執筆活動を行う
石井惠[イシイメグミ]
座・高円寺(杉並区立杉並芸術館)で企画・制作を担当。パリ第三大学演劇科で学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゅー
5
2篇とも大きな出来事は起きない。淡々と人と人との阻害が表現されている。ひたすら部屋の配置を変更する女、性転換したことで父との関係がうまくいかない女。日常を少しはみ出したところにある、ぼんやりとした非日常の中で彼らは生きている。著者がさっと筆の一振りで描いた断片により彼らの人生が透けて見えそうになるが、突如筆は下ろされ、未完成なままの荒削りな素描だけが、暴力的に残される。風景を、それらがそれらであるままに誇張せず、あるは矮小化せず、そっと掌に乗せたガラスのかけらを渡すように手渡された一冊だった。2014/02/21