内容説明
天明期、江戸文化を代表する多彩な出版事業を展開した蔦屋重三郎。山東京伝、滝沢馬琴、大田南畝らを擁し歌麿、写楽を世に出した出版人の軌跡を探訪・検証し、その人と生の真実に迫る。
目次
序章 プロローグ
第1章 蔦屋重三郎との出会い
第2章 書肆蔦屋の誕生
第3章 身代半減ではなかった重三郎
第4章 富本節との深いつながり
第5章 江戸っ子蔦重の登場
第6章 蔦重の夢ははるかに
第7章 華麗なる十年への旅立ち
第8章 天明文化の光と蔭
第9章 たそがれに太陽を
第10章 幕は下りたがまだ柝はならぬ
第11章 蔦屋その後の人たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
紫
3
蔦屋重三郎歿後二百年の1997年刊行。もとは戦時中(!)に著者が卒業論文を書くために調べたものだっただけに基本的なスタンスは「ひいきの引き倒しにはならないように」という穏当なもの。いささか著者͡好みの江戸っ子のイメージが投影されているきらいはあるものの、「少々あわて者で、さきっぱしりで、呑み込みも早い、失敗があっても深刻にはならない、そんな性格」という等身大の蔦屋評は案外に当たっているのではないでしょうか。そんな本書の白眉は「財産半分の没収はなかった」説。ここだけでも読む価値は大なのであります。星4つ。2023/07/19
hisayparrish
2
商業界主幹を務められた蔦重研究家の倉本初夫氏の著作。綿密な資料、調査に基づきまとめられた貴重な1冊だ。紫氏も書いておられるが、幕府の禁令違反で受けた処分が身代半減の闕所だったかどうかの真偽判定部分が、力が入っていて読みごたえがある。しかも判決文まで載っている。私にこれを評価判断する能力はないが、江戸時代の刑罰について少し勉強してみようという気にさせられる。失われた墓碑銘の資料もある。山田風太郎の八犬伝も読んだことだし、今年は、大河ドラマべらぼうを見ながら江戸時代の商人・出版人・文化人に注目していこう。2025/01/08
人魚姫
0
語り口が柔らかいので、とても読みやすかった。 大河ドラマと並行して読んだので、ドラマ見ながらこの頃はこんな本を出してたんだなと思いながら見られて良かった。2025/10/11
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- 和書
- 理想 〈第698号〉




