内容説明
本書は、冷戦終結後、米国が中国とロシアを「最も差し迫った戦略的課題」として敵対的脅威と見なすようになった現在までの時代の歩み、その軍事外交政策とその軌跡を、二人の女性―ミシェル・フロノイ(オバマ政権元国防次官)とヴィクトリア・ヌーランド(バイデン政権前国務長官)を通じて詳細に描く。ワシントンの二人の魔女の軌跡から読み取れるのは、米国の対外行動の深刻な正当性の欠如だ。軍事政策がそれを決定する一握りのエリートらの物質的利益と直接結びついているのなら、政策自体を外交的理性、軍事合理性で御するのは至難に違いない。さらに自国の対外行動を外部の規範で抑制されるのを忌避する米国の「例外主義」と覇権主義は、国際社会の原則と対立し世界を戦争へと導く。
目次
序章
第1章 ネオコンが台頭した時代
第2章 シンクタンクCNASの内幕
第3章 ロシアとの戦いへの道
第4章 オバマ政権でのそれぞれの役割
第5章 クーデターの闇の中で
第6章 拡大し続ける利益相反の世界
第7章 ウクライナ戦争の勃発と辞職の真相
終章
著者等紹介
成澤宗男[ナルサワムネオ]
1953年新潟県生まれ。中央大学大学院法学研究科政治学専攻課修士課程修了。元『週刊金曜日』企画委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kk
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図書館本。フロノイ元国防次官とヌーランド元国務次官。民主党政権下における二人の女性高官の経歴を追いながら、いわゆる「ネオコン」と「リベラル介入主義」という二つの流れが徐々に融合し、今日の米国安全保障政策の根底を為すに至る過程を提示。併せて、フロノイをはじめとする元高官達が、シンクタンクをプラットフォームとして、実態として防衛産業の利益を代表する形となっている点を指摘。さらにそうした角度からウクライナ事態の意味合いを再解釈。著者の認識や主張の当否は判断しかねますが、なかなか刺激的な一冊でした。2024/10/16