内容説明
「ガソリン携行缶持って館へおじゃますんで―」―。2019年8月、愛知県で開幕したばかりの国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」事務局にこの脅迫ファクスが送り付けられた。憎悪の矛先となったのは、「慰安婦」を象徴した「平和の少女像」だった。旧日本軍の「慰安婦」制度や軍国主義下での天皇制、朝鮮人強制連行といった歴史認識の問題と絡んだ、メッセージ性のある作品の展示は近年、公立の美術館などでの展示が難しくなっている。過去に展示を拒まれたり、撤去されたりした作品を一堂に展示するという挑戦的な狙いの「表現の不自由展・その後」の中止は、こうした流れの中にあった。本書は、「表現の不自由展・その後」をはじめ、2021年7月の「名古屋展」と「大阪展」、そして、22年4月の「東京展」など「表現の不自由展」をめぐる出来事の取材記録であり、表現の自由とは何かを考える。
目次
第1章 「表現の不自由展・その後」が中止(「不自由展」中止に働いた力;中止と再開 弁護団長に聞く;それは報道の不自由展だった;大村秀章・愛知県知事インタビュー)
第2章 連帯(立ち上がった海外作家たち;中止に抗議して内容を変更・展示中止した作品;小泉明郎氏に聞く)
第3章 補助金不交付(文化庁;「宮本から君へ」の助成金不交付;「主戦場」の上映中止決定)
第4章 愛知県知事VS名古屋市長(盟友・大村知事を見限り、見限られるまでに何があったのか;法廷闘争へ―名古屋市第三者委員会を検証する;署名偽造とリコール 河村たかし名古屋市長インタビュー)
第5章 広がる表現の不自由展
著者等紹介
臺宏士[ダイヒロシ]
ライター、メディア総合研究所の機関誌『放送レポート』編集委員、特定非営利活動法人報道実務家フォーラム副理事長、新聞労連ジャーナリズム大賞選考委員。1990年毎日新聞社入社、2014年フリーに
井澤宏明[イザワヒロアキ]
ジャーナリスト。岐阜県生まれ。同志社大学卒。1993年から読売新聞記者、2012年フリーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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