内容説明
2014年にユネスコのエコパーク(生物圏保存地域)に登録された南アルプス。日本第二の高峰北岳を中心に3000メートル級の山々が連なる山脈は、豊かな自然や生き物、そして美しい景観の宝庫だ。そこから流れ下る大井川などの河川が、静岡の茶畑を中心とする農業を支えている。いまここにリニア新幹線の巨大なトンネルが東西に貫通し、南アルプスの豊かな自然と人びとの生活を破壊しようとしている。何が起きようとしているのか?本書は「ストップ・リニア!訴訟」原告団南アルプス調査委員会が、エコパークの存続の可能性をもふくめて全力を挙げて調査した報告である。
目次
第1章 南アルプスエコパークの特異性(南アルプスの概要;南アルプスの特異性;南アルプスの植物相;南アルプスの動物相;南アルプスの景観)
第2章 南アルプスエコパークの普遍的価値
第3章 世界自然遺産とエコパークの相違点と関連性
第4章 リニア新幹線と南アルプス―環境アセスメントをめぐって(アセスの問題点;準備書に対する知事意見とその回答)
第5章 リニア新幹線は南アルプスのエコパーク登録に何をもたらすか(エコパーク登録の抹消はあり得るか;南アルプスのエコパーク登録を維持するために何をすべきか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yomineko@ヴィタリにゃん
63
何故リニアが必要なのか全く理解不可能。強力過ぎる電磁波のため運転士はいない。でも乗客はいるという不思議さ、異常さ、怖さ😨そして南アルプスの貴重で希少な美しい自然を壊す。どうして平気なのか本当に分からない。。。トンネル火災が起こったら全員一巻の終わりと他の本で読んだけど😨本当に必要?中国は開発止めてますが。中国でさえ!怖い・・・乗りたくない!!!バスでいい、バスで。2022/05/07
壱萬参仟縁
44
番組づくりでも反対した、リニアの危険性。本書は、工事の際に、55頁の断面図をみたら、やはり、危険極まりないことがわかる。文藝春秋3月特別号の対談はまったく承服できない。本書を読んで、そして、今朝の信濃毎日新聞で関係自治体が残土拒否しているのをみると、リニア工事は多難と思える。また、作者にはわたしの番組URLをご紹介しておきました。https://youtu.be/-9XJ84PUrsk 長野県大伊那郡飯田リニアを考える会事務局は春日昌夫さん mail@nolineariida.sakura.ne.jp 2022/03/26
Syuhei Sumida
1
昔リニアのルート案3つを見たときに、「何で静岡を迂回するんだろう?まっすぐ突っ切ればいいのに」と思ってしまっていたが、南アルプスが答えだったのね。毎年4mmの隆起、工事過程での地下水の流出、残土処理、エコパークの推進を考えると、とてもリニア工事なんてできそうにもないと捉えられてしまう。図面上では静岡の先端だけ貫通するように見えるが、そこに守るべき自然があることをもっと主張すべきだと思う。未来のために自然を守るか、それでも経済発展のためにリニアを通すか、どちらに傾くかということかな?と。2021/06/08
Daisuke Yagi
0
ただでさえ、鹿による食害などで、お花畑始め、エコパークの価値は低下している。 これとて、人間の所業が影響している。 その上、トンネル工事で地下水位が300m超低下するのだから、致命的なダメージがある=エコパーク存続不可能?と考えるのが普通だろう。2023/06/04