内容説明
東尋坊の断崖をさまよい、眼下の海をのぞいて立ちすくみ、身を投げ出そうとする自殺企図者…そうした人を見つけるや体を張って止めに入る「NGO 月光仮面」。断崖の自殺防止パトロールだけではなく、命以外のすべてを失っている人に、生活保護の申請を援助し、住む場所と日々の食事を用意し、自立を促す「NGO 月光仮面」の活動。「NGO 月光仮面」は、生活保護申請を様々な手口で受け付けない行政と年間1万人を超える人間を自殺に追いやる冷酷な日本国に立ち向かう!
目次
緊急出動
随應寺
「失われた世代」に生まれて
攻防―生活保護の窓口
攻防―生活保護の圧抑
攻防―生活保護と扶養
攻防―生活保護と接遇
攻防―生活保護と就労
攻防―生活保護の力
感情の矛先
警察への視線
家族の風景
マリの視点
「きょうを生きる」を手伝う
著者等紹介
下地毅[シモジツヨシ]
1971年、沖縄県うまれ。1997年から新聞記者。これまでの勤務地は福島・滋賀・大阪・鳥取・京都・福井・大阪・和歌山(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
17
ハチクロでの真山の台詞、好きな人が困った時に助けてあげるように経済力を身につけておきたい、っての。溺れた人を救うために必要なのはワラではなく綱なのだ。NGO月光仮面の代表ご本人も経済的に豊かではなく食べるものにも事欠く状態なのに自殺志願者が救いを求める電話をするための小銭を欠かさないように用意する。そしてその電話に救われた人たちもまた人を救うための活動に足を踏み入れる。こども食堂と同じく個人の懐目当ての福祉(?)は本末転倒だな。著者もまた手を差し伸べずにいられないという善意に感染していくのがよくわかる。→2021/03/26
なにょう
11
福井県の東尋坊は自殺の名所。地元の人たちも、そんな現状をただ手をこまねいて眺めている訳ではない。市役所、警察、病院はそれぞれの役割を果たす。公的機関の力の及ばないところをボランティアが力を出す。★死にたがっている人はほんとうは、生きたいのかもしれない。ただ毎日が続いていくから、生きてるだけって人も大勢いると思う。抱えるものの多い、自殺志願者を丸っと受け止めて、やり直しの支援をするかたがたには頭が下がる。★著者の自己紹介がない、どういう立場なのかよくわからない。2023/03/08
tellme0112
7
ある人を思いだした。恩を仇で返すような…死にたがりの人。リアルだった。車は新車を買ってやれ。車に詳しい人なら良いけど、怖いなあ。
天茶
2
61p
Lisa Tada
1
読みやすかったのと、法律解釈が完結に織り込まれていたのとが、良かった。 月光仮面の怒涛の人助けに圧倒される。 私もホームレスの自殺予防の活動を始めたばかりなので、勉強にはなったが、ここまでのことはできない。 友人が貧困対策の法人の代表だったり、他の友人がNGOで活動していたりするので、私にとっては内容は身近なものでしたが、一般の人に広く読んで欲しいと思う。 今の時代、「死にたい」という状況に追い込まれる危険は、誰にでも、ある。2021/05/26