出版社内容情報
アイヌの墓を曝き人骨を持ち去った学者達。遺骨返還を求めるアイヌの怒りと涙。北大を相手に返還訴訟を起こしたアイヌの闘い
北大開示文書研究会[ホクダイニタイスルイコツヘンカンソショウトセンジュウケン]
著・文・その他/編集
内容説明
19世紀後半から1970年代まで、北海道大学を中心に全国の大学の教授らが、北海道やサハリン、千島列島など各地のアイヌ・コタンの墓地を曝いて、大量の人骨と副葬品を研究室に持ち去った…。今も大量の遺骨を保管する北大を相手に返還訴訟を起こしたアイヌたちの闘いを通して、先住権を無視したまま日本政府が進める「名ばかりのアイヌ政策」を告発する。
目次
大量のアイヌ遺骨がなぜ全国の大学にあるのか
フォト・リポート アイヌ墓地「発掘」の現場を訪ねる
第1部 コタンの墓地を暴いた者たちへ(私が北海道大学に文書開示請求した理由;肉親の眠る墓を掘られた母の遺言 ほか)
第2部 発掘遺骨「白老再集約」の人権侵害を告発する(アイヌ民族の遺骨を欲しがる研究者;これでいいのか?政府主導の新アイヌ民族政策 ほか)
第3部 北海道大学はアイヌ遺骨を返還せよ(城野口ユリさんの意見陳述;小川隆吉さんの意見陳述 ほか)
第4部 先住民族の遺骨返還の潮流(われらが遺骨を取り戻すまで―アラスカの返還運動;ワイラウバー(ニュージーランド)へのマオリ遺骨返還 ほか)
北大開示文書研究会のとりくみ
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
9
何ともやりきれない思いに襲われる。この国で先住民族に対して"研究という名の暴力"が振るわれ、今なお暴力が現在進行形で続いている実態をまざまざと見せつけられた。北海道大学のあまりの不誠実な対応にも呆れ返るが、国家による北海道アイヌ協会取り込みの影、アイヌ内部の分断を狙った工作企ての匂いがプンプンする。中国の少数民族に対する弾圧を正面から批判出来る資格がこの国にあるだろうか?「自分の所の足元しっかり見てからモノ言えや!」という声が聞こえてきそうだ。恥ずかしい事この上ない。 2016/08/21
sasha
8
明治期はあるだろうなとは思ったが、戦後まで続いたのか。アイヌの人たちの遺骨は盗掘され、大学で研究材料に使用された。そのまま保管されていた遺骨の返還を求めて立ち上がった人たちの記録である。世界各国で先住民に対して行われた差別について謝罪が行われている。この点については日本は間違いなく後進国だと思う。祭祀継承者が判明しない遺骨は象徴空間に合祀するって何だ?本来眠るべき場所へすべてを返すことが慰霊ではないんだろうか。2018/09/15
Masako3
1
★★☆ 明治時代以降、主に北海道大学などが研究目的でアイヌ人の人骨を千体以上という規模で持ち去った。その返還を要求しているNPOにより編まれた書籍だ。北大は子孫が明確な遺骨のみ返還を受け入れているが、埋葬を家単位ではなく集落(コタン)単位で行うアイヌの文化とは相容れない。米英で同様なガイドラインと比較すると雲泥の差の自由度である。残念な対応だ。2017/02/11
takao
0
北海道大学への遺骨返還運動2017/01/21
pepe
0
北海道大学にあるアイヌの遺骨の返還に関する問題を多面的な視点から明らかにした本。先住民、マイノリティーとして差別されてきたアイヌの人々の切なる気持ちが伝わる。2016/04/29