内容説明
原子核物理学者・水戸巌は、世界中が原子力発電の夢に酔っていた時代に、いち早く専門家として原子力発電の危険性を力説し、建設反対運動の現場に寄り添い、地域を駆け巡って反対を説き、反原発運動の黎明期を切り開き、その生涯をかけて闘いぬいた。本書は、彼の論文・講演・裁判関連の文章を集め構成したものである。その文章の端々から、フクシマ以後の放射能汚染による人体への致命的影響が驚くべきリアルさで迫ってくる。
目次
1 反原発入門(17の質問にこたえる 原子力発電はどうしてダメなのか;原発はいらない)
2 スリーマイル島とチェルノブイリの原発事故から何を学ぶか(働かない安全装置!スリーマイル島事故と日本の原発―TMI原発事故とBWR;チェルノブイリ原発事故の汚染規模 ほか)
3 原子力―その闘いのための論理(原子力発電所―この巨大なる潜在的危険性;原子力におけるエネルギーの諸問題 ほか)
4 東海原発裁判講演記録(原発はこんなに危険だ;原発の事故解析と災害評価 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
27
まえがき 小出裕章先生:ガンジーの指摘する人間性のない科学など、百害あって一利なし(7頁)。79年6月16日講演:放射線は核分裂の際、大量の死の灰が周辺にまかれる(64頁)。マーシャル群島の住民の健康被害を知らなかったことを反省せねば(65頁)。冷却水が失われていったとき、水を注入。炉心を冷やす(77頁~)。先進国の人間だけがエネルギー 浪費し、中東から略出する文明という自覚を(86頁)。 2015/05/10
ネコ
3
30年近く前の著作・講演録ですが、福島の原発事故を予見しています。30年前の学生の頃、使用済核燃料の処理の問題を指摘すると、科学の進歩が解決すると反論されましたが、30年経っても当時とほとんど変わっていません。2014/05/15