内容説明
現代医療は、先端医学の発展で、「生命の操作」にまで及び、「神」の領域に踏み込みつつある。「脳死」「臓器移植」「再生医療」などは、人類の未来や命の本質を左右しかねない問題を含んでいる。生命とは、死とは、人間とは何なのか?そうした議論をつくさないまま企業の論理も介在し、状況はどんどんすすんでいく。本書は、5人の専門家が、それぞれの立場から、現在置かれている生命の状況を踏まえ、医療のあり方、それを取り巻く国や企業の動き、生命観、宗教観など、人体リサイクル社会の問題点を幅広く論ずる。
目次
第1章 人体リサイクル社会の行き着く果て(人工多能性幹(iPS)細胞の作成による新しい生命科学の幕開け
現行の医療・医学の大幅な後退・変質 ほか)
第2章 健康幻想と優生思想(「義務」としての健康・「義務違反」としての病気;社会統制と健康 ほか)
第3章 いのちへの作法(星子と能力;いわく不可解 ほか)
第4章 生命観変貌の社会史(バイオテクノロジーの歩みと生命特許;ヒトゲノム解析 ほか)
第5章 いのちの否定―宗教による戦争と差別の正当化(宗教といのち;仏教といのち ほか)
著者等紹介
山口研一郎[ヤマグチケンイチロウ]
1949年長崎生まれ。長崎大学医学部卒業。現在、やまぐちクリニック(高槻市)にて脳神経外科、神経内科及び「高次脳機能障害」に対する認知リハビリのための外来診療、在宅患者の訪問診療に携わりながら、現代医療を考える会を主催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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