内容説明
アイヌの歴史、とりわけ江戸末期から今日までの歴史をやさしく書いた本は、ほとんどない。本書は、さまざまな文献にあたり、日本のアイヌ支配の歴史、アイヌ民族の差別との闘い、その民族復権への道程を分かりやすく書いた、江戸末期から今日までのアイヌ民族の近現代史。
目次
1 「異域」から「内国」へ
2 「皇国の臣民」へ
3 樺太・北千島アイヌの悲劇
4 開拓の嵐、吹き荒れる
5 逆境から起ち上がる
6 民族復権の新しい波
著者等紹介
小笠原信之[オガサワラノブユキ]
1947年、東京都生まれ。北海道大学法学部卒業。新聞記者を経てフリー・ジャーナリスト
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
42
1774から1999までの約200年をまとめたもの。 アイヌ人と和人との関係を、和人側で整理したもの。 アイヌ人が整理したものもあるとよい。 アイヌ差別問題読本は,いくつかの話題に限定していた。 近現代史読本は,時系列な記述になっている。 3人のアイヌ歌人に言及し,深堀しようとしている。2016/11/27
りー
5
国とは何だろう?学校で覚える日本地図は、北海道から沖縄まで入ったお馴染みのあれ。でも、少し古代史関係の本を読むと倭→大和→日本って、同じ国なのか?という疑問が出てくる。アイヌモシリであった北海道は、五稜郭の戦い後に日本に組み込まれ、明治維新後の新政府から徹底した搾取と差別の対象とされ、今に至っている。ロシア・ソ連との国境で繰り返された強制移住、言語や文化の剥奪。アイヌに対して使われた“土人”という言葉は古事記で宇佐を征服した時の「土人=くにびと」が初めだそう。同じ事が古代から繰り返されてきたのだと思った。2018/12/25
m.e.e811
1
これは日本人なら読むべき本。これも購入したい。子供にも読ませないといけないなと思う。今の北海道が何の上に成り立っているか。 アイヌの人たち、沖縄の琉球民族、日本はそういう民族を無視してきた。今だってそう。豊かな人々なのに。2019/06/10
kana
0
大学の国際交流の授業でアイヌについて調べることになり、出逢った本。私はアイヌについてそれまで、「北海道の先住民族で、今文化振興が声高に叫ばれ、アイヌ語の復興などが取りざたされているなぁ」という程度にしか、知らなかった。本書は私のそのぼんやりとした認識の誤りを丁寧に正してくれました。「江戸末期から今日までのやさしいアイヌの歴史」という謳い文句の通り、アイヌの人々に対しての国の政策やその差別的待遇、その対抗運動に至るまでが豊富な資料に基づいて詳細にわかりやすく述べられ、これがどうしてなかなか大変面白いのです!2007/12/02
やご
0
この前沖縄史の本を読んでいる最中にふと、アイヌの人たちの歴史が知りたくなり読むことにしました。幕末から現代にかけてのアイヌ民族の歩みを追った本です。多少調べてみたのですが、そもそも一般向けのアイヌ史の本は少ないようで、そんな現状の中では貴重な一冊といえるかもしれません。否応無しに感じるのは圧倒的に強い立場にある多数派が少数派と向き合うときにどういうことが起こるかということで、悲しむべきことですがアイヌ問題はその悪しき典型例のようです。2006/08/30