出版社内容情報
グーテンベルクVS.デジタル化の争闘
電子書籍元年(2010年)から十数年、本の電子化は未だ〈低速前進〉にとどまる。一方、「紙の本」を取りまく環境はまさに、〈高速後退〉だ。著者が博引旁証をもって切り込む!〈出版の今〉……
内容説明
グーテンベルクVS.デジタル化の争闘。電子書籍元年(2010年)から十数年、本の電子化は未だ“低速前進”にとどまる。一方、「紙の本」を取りまく環境はまさに、“高速後退”だ。著者が博引旁証をもって切り込む!“出版の今”…。
目次
第1章 読書体験
第2章 本の三つの特性
第3章 紙の本をどう評価するか
第4章 ネット時代に本とどう付き合うか
第5章 電子書籍化の流れ
第6章 ネット時代、本に望む
第7章 本を超えて
著者等紹介
高橋文夫[タカハシフミオ]
1961年に一橋大学経済学部卒。日本経済新聞ニューヨーク特派員、編集委員を経て、日経BP「日経ビジネス」「日経コンピュータ」発行人・局長、専務編集担当、日経BP出版センター(現日経BPマーケティング)社長などを務めた。第一線を離れて、現在、日本記者クラブ個人会員・日本外国特派員協会正会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田中峰和
6
紙の本の効用を語りたいための、スマホとの比較。紙の本で育った著者だから仕方ないのだが、引用データも自分好みのものを集めている。だが全てが電子化されていけば、旧世代にとっては身の置き所が亡くなっていくのは事実。61年生まれの高学歴、雑誌編集という知的職業についてきた著者にとっては、時代の流れについていくのも苦にならないだろうが、一般の高齢者には住み辛い時代になってしまった。そういう世代の代弁者なのだが、シュリーマンのトロイア遺跡発掘など事例が古臭いのは否めない。読者の大半は高齢者だろう。2024/08/05
アーク
3
本を読むには紙と電子版のどちらがいいかって、個人的にはその人の好みと相性だと思う。確かに紙の方が頭には入ってきやすいんだけど、移動中や旅行中に読むには電子版の方が便利なので、図書館本は紙、持ち歩きたい本は電子版で使い分けている。ブックリーダーも進化しているので、いずれは紙の本を浸食してしまうだろうな。それでも辞書をはじめとして紙がなくなることはないだろうし、共存していくのが理想だと思う。2024/07/14
Humbaba
2
自分の体験や考えを本という形で後世に残す。それはとても価値のあることだが、それを読んだからと言って全てがわかるわけではない。どのような思考があったのかを追跡することはできても、その時に他に何を考えていたのか、何が見えていたのかまではわからない。自分なりの解釈などを書き込んでいくという方法で追体験することこそが本質であり、それをすることで本当の意味で理解できることもある。2024/10/23
古民家でスローライフ
1
日本経済新聞の記者や日経BPの役員などを歴任された経験を持つ著者が、出版業界の「今」に鋭く切り込んだ一冊。本書では、デジタル書籍が少しずつ増えているのに比べて、紙の本は、急速に縮小している現状を様々な視点から分析している。スマホの登場以来、活字に触れる機会は、逆に、増えているとは思うが、じっくり、文章を読んだり、楽しんだりという行為自体が減っているのは確かだ思う。ただ、逆に、読書という体験自体がリッチで贅沢なものになっているとも言え、実際に、純粋な読書体験は、楽しいものであり、得られるものは大きい。2025/07/27
Humbaba
1
本は様々な知識を与えてくれる。その本質は情報の伝達であり、どのような媒体でそれを行うのかというのは本質ではない。その意味では紙の本も電子書籍も変わりはないと言える。ただし、少なくとも現代においてどちらが読みやすいかというのは違いがある。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分の状況と目的に応じて適切に使い分ける必要があるだろう。少なくともどちらかを無意味に嫌うのは無駄でしかない。2024/12/09