出版社内容情報
著者・蜷川新(にながわ・あらた)氏は、明治維新直後から日清日露戦争と二つの世界大戦を経て、日本の敗戦、連合国による占領とそこからの再独立という、まさに激動の時代に生きた人物である。
連合国占領下の日本が、サンフランシスコ講和条約(と日米安全保障条約)を結んで曲がりなりにも「再独立」を遂げた頃、一九五三年一二月に世に問うた本書は、当時も今も、民衆に背を向けた御用学者が説く憲法講釈よりも、よほど読む価値があるし、説得力があるのだ。
内容説明
蜷川版「憲法読本」の今日的意義。明治憲法は天皇権力主義の三権分立を認めない憲法であるとする著者が、民主憲法を「天皇は国の“しるし”に過ぎない」とした天皇観に基づき「主権は人民に在り」と説く!
目次
1 明治憲法の成立
2 明治憲法の果した役割
3 現行憲法の基本性格
4 民主憲法と天皇
5 戦争の放棄と自衛の問題
6 人間の権利
7 立法・行政・司法の問題点
むすび 憲法改正問題をどう取扱うべきか
著者等紹介
蜷川新[ニナガワアラタ]
1873年駿河国(静岡県)袖師に生まれ、東京麹町に育つ。1959年、脳血栓のため逝去(86歳)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gokuri
4
20世紀前半に、外交、大学教授、日赤で活躍した法学者の著書で、1953年に一般向けとして出版された憲法本。 著者曰く、「単に法律学の講義ではなく、時事に関し、憲法に照らし、何人にもわかるように説いた」とのこと。 旧憲法と現憲法の成り立ちを振り返り、現憲法の矛盾、課題などを当時の状況から、容赦なく指摘、追及するのはなかな痛快。国際的な視点から、ポツダム宣言、サンフランシスコ講和条約、日米安保条約をあたらめて読み解く必要があることを実感した。60年も憲法の改正に着手すらできないのは国民そのものの責任か?2024/02/22
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