出版社内容情報
コロナ禍から10年が経過した日本の社会--。バイザーを利用した相互監視システムが構築され、どんな理由であれ、適合できない人々は「アンプラ」と呼ばれた。不適合の人々は〝静山泊〟に集まるが、地域住民による排斥運動に悩まされる。彼ら・彼女らの行く場所はあるのか?
内容説明
コロナ禍から10年が経過した日本の社会…。バイザーを利用した相互監視システムが構築され、どんな理由であれ、適合できない人々は「アンプラ」と呼ばれた。不適合の人々は“静山泊”に集まり共同生活を送るものの、地域住民による排斥運動に悩まされる。彼ら・彼女らの行く場所はあるのか?
著者等紹介
平山瑞穂[ヒラヤマミズホ]
小説家。1968年、東京都生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年に『ラス・マンチャス通信』(角川文庫)が第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わか☆
10
「ラス・マンチャス通信」で大ファンになった平山さんの新刊。とても恐ろしい。個人的に「犯罪者予備軍」という言葉が苦手。考えを文字として表示するバイザーを装着する事が義務づけられ、返答にまごついたり沈黙してしまうとエラーポイントが貯まり特定注意人物と後ろ指をさされる近未来の日本。人の悪口に上手く賛同出来なかったり、とっさに建て前が言えない不器用な人たちは生きる場所が無くなってしまう社会。「嫌だ~」と泣きたくなる読書だった。2022/04/24
Dr.strangelove
5
タイトルの良さに惹かれて手に取った。作中ではバイザーと呼ばれる、思考を可視化する装置が登場する。これは他者との言語感覚の不一致を具体化させるアイテムだ。日常的に言葉の噛み合わない相手に対して、私たちは「聞き流す」「はぐらかす」という回避方法を持っている。だが、到底受け入れられない意見に対してすべて言語化した返答を求められるとしたら?これはバベルの塔の寓話の逆ではないか。双方向の言語コミュニケーションは人間関係を良い方向だけに導くとは思えない。猫は猫の言葉でしか返事をしないから、永遠に愛くるしい。2022/06/04
マキコマキ
5
終始緊張を強いられる読書でした。 怖すぎる世界観です。たまたま不適合な人が犯罪を犯すと、十把ひとからげで不適合者全員が犯罪予備軍のようにたたかれる。帯にもありましたが、何より恐ろしいのは一般の人々。自分の正義を振りかざし、人の意見を聞かず徒党を組んで声を上げる。一人では何もできないのに集団になると強気で攻めてくる。 こんな世界には本当になってほしくないし、ちゃんと人とは会話したい。この世界観に慣れるまでは少し戸惑いましたが、こんな世の中に絶望していた主人公に少し希望が見えたことにホッとしました。2022/02/09
けんたん
4
きっと簡単なのに難しい。そんな本。 思考の明示、政府による政策、逃避地、思考の変化。理解しようと読み進めているうちに終わった。2022/02/16
O-chami
3
コロナ禍の10年後を描く、近未来シュミレーション小説~ 徹底した管理社会で相互監視システムが構築され、適応出来ない人々は・・・ 有り得ないと言い切れない怖さが有ります。 BGMは、YELLOW MAGIC ORCHESTRAで「RYDEEN」🎶~「TECHNOPOLIS」🎶2022/02/18