内容説明
「聖なるロシア」とは何か。それは社会の願望と民衆の感じる変わりゆく歴史的現実とを反映する、生きた神話を映したものであった…。“聖者”となった統治者の神話の足跡と、民衆の神話の起源と発展とをつぶさに辿る名著。
目次
序論
第1章 聖者となった公と公であった聖者
第2章 もっとも優しいツァーリ
第3章 至高の皇帝
第4章 「聖なるロシア」
第5章 新しい正教
第6章 ロシアの神
第7章 ロシアの魂
結語
著者等紹介
中村正己[ナカムラマサミ]
1937年中華民國上海生まれ。1961年一橋大学経済学部卒。商社勤務ののち、1999年同大学社会学部入学、土肥恒之ゼミ所属。2004年同大学大学院社会学研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Fumitaka
2
ロシアの君主崇拝というか、キリスト教的な土着信仰について考察。普通は個人としての王と「油を注がれたもの」としての王は時に対立し矛盾も生じるが(p. 37)、ロシアでは王は「神の代理人」で、「それまで以上に高く位置づける」(p. 112)ことによってその対立関係は気にされず、エリザヴェータ女帝以降の皇帝が自ら冠を被ったこと(p. 124)も、ナポレオンが自ら冠を被ったこととは意味が違っているとする。表紙にも使われているネステロフの絵〈ルーシへ〉にドストさんとかもいることにようやく気がついた(p. 283)。2022/09/12