内容説明
死せる巨大魚は何を囁いた?正義の天秤が傾き示す“裁かれし者”は誰なのか?1955年度英国推理作家協会シルヴァー・ダガー賞作品。
著者等紹介
マーシュ,ナイオ[マーシュ,ナイオ] [Marsh,Ngaio]
1895年、ニュージーランド、クライストチャーチ生まれ。ニュージーランド大学在学中に書いた戯曲A Terrible Romantic Dramaが劇団主宰者の目に留まり、女優や演出家として活躍。1929年に渡英し、『アレン警部登場』(1934)で作家デビューする。演出家や脚本家としての仕事を続けながら小説の執筆も行い、英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞を二度受賞し、78年にはアメリカ探偵作家クラブ巨匠賞を受賞した。62年にカンタベリー大学の名誉博士号を授与、67年には大英帝国勲章の称号を得ている。1982年死去
金井美子[カナイヨシコ]
東京女子大学文理学部英米文学科卒業。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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maja
14
名門一族の屋敷や農園がある小さな村スウェヴニングズ。丘の上から眺めるのどかな村の様子は箱庭を覗き込むようだ。そんなある日、戦中に外交官であったサー・ハロルドが死際にカータレット大佐に回顧録を託したことから殺人事件に。理由のありそうな旧家の人たちの関係、そして館の女主人が上流階級として看護婦ケトルに説く自分たちなりの規範とは。村社会の事件の顛末は落ち着かない気分となるが、人々の間をあちこちと行き来する気のいいケトルの姿が村の雰囲気とともに印象的。 2021/10/14
ごへいもち
14
リア友の紹介。ちょっと退屈でした2021/09/03
koo
7
今更ですがナイオマーシュ初読み、アレン警部シリーズ18作目の様です。1955年作ながら黄金時代を感じさせる様なのんびりとした雰囲気漂う田舎を舞台とした英国本格スタイル。登場人物のキャラがくっきりしてとても読みやすい所は良かったですが犯人当ての根拠となるのが「鱒の鱗」に対する考察のみなのが物足りなく他に推理する情報を撒いて欲しかったですね。ハロルド卿の原稿という魅力的なネタも上手く生かされておらず凡作ですが短時間で昔ながらの本格を味わえたので満足。「ランプリイ家の殺人」も読んでみたいと思います。2024/01/11
三門 優祐
4
イギリスの片田舎に在する、数百年間何も変わっていないかのようにさえ思える村スウェヴニングズを舞台に、物語が展開する。チェイン川の主である巨大な鱒オールド・アンが持ち去られ、死体の傍に置かれたことを含む乱雑な「違和感」が、実は犯行後に犯人が決定的証拠を大慌てで消し去った痕跡であった……と理解されることで真犯人が炙り出される。このいかにもマーシュらしい「その場しのぎプロット」が、絵画のような風景の美しさや村に住む奇矯な人々の生態と併せて語られることで、悪くはない作品に仕上がっている。2021/10/15
tokyo-zodiac
4
スウェヴニングスの村に住む、ラックランダー家の家長で、自らの死期を悟っていたサー・ハロルドは、カータレット大佐を呼び寄せ、死後の回顧録の編集を託して息を引き取る…ハロルドの死後、大佐から回顧録の一部を読まされたハロルドの息子ジョージは激しく動揺し、原稿を破棄するよう懇願するが、堅物で知られる大佐は、故人の遺志を曲げることはできないと拒絶する……ある晩、看護婦のケトルは大佐が川べりで倒れているのを発見する。すでに息はなく、大佐のこめかみには殴打された痕跡があった。そして死体の傍らには、釣り人たちにとって… 2021/05/30