内容説明
都会の白兎は何を食って生きているのか―。不思議さ、可笑しさ、不気味さをはらむ物語を美しく細密な銅版画絵で彩るアート絵本です。10代から大人まで楽しめます。
著者等紹介
多和田葉子[タワダヨウコ]
小説家、詩人、戯曲家。1960年東京都生まれ。1982年よりドイツ在住。日本語とドイツ語で作品を発表。「かかとを失くして」で群像新人文学賞、「犬婿入り」で芥川賞、ドイツでゲーテ・メダル、クライスト賞を受賞。著書に『容疑者の夜行列車』(谷崎賞)『雪の練習生』(野間文芸賞)『献灯使』(全米図書賞翻訳部門)『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』ほか多数
溝上幾久子[ミゾカミイクコ]
銅版画家。1965年千葉県生まれ。1990年から銅版画を中心とした作品を制作発表しつづけている。書籍、新聞、雑誌のための装画、挿絵など多数。プライベートプレス「幾文堂」を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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starbro
263
芥川賞作家、多和田 葉子の絵本初読です。オオカミが何のメタファーなのか良く解りませんが、美しく細密な銅版画絵と相まって、アーティステックで独特な世界観を醸し出しています🐺🐺🐺 https://rakuten.tameshiyo.me/9784846019723?page=92021/04/09
KAZOO
119
多和田葉子さんが童話のような風刺的な物語を語っていますがそれにこの銅版画がよくあっています。色合いも楽しく印象に残ります。オオカミ県のオオカミと都会のウサギたちが今のコロナ下の現状をよく表していると感じました。大人向きの考えさせる絵本です。2021/09/23
ぶち
119
読友さんのレビューに魅かれて手に取りました。 オオカミ県出身の主人公はネットの噂に田舎者だという悪口を見つけ、"東京"へ出てきました。でもそこは、白兎のような顔をして歩く上品ぶった奴らばかりの地だったのです。見栄っ張りで拝金主義で上品ぶって、肩書や物欲に支配された白兎たち。人種差別、格差、フェイクな情報が溢れるネット社会、政府の暴走.....そんな"東京"の描写がコロナ禍に上手く対処できないでいる現実の政府や官僚を彷彿とさせます。みんなで完熟バナナをぶしゅっとぶつけようぜ!2021/07/16
ネギっ子gen
119
<俺はオオカミ県の出身だが、もちろんオオカミ県に住む者がみんなオオカミってわけじゃない。大きな神のことを昔の人はオオカミって呼んでいて、どうやらそんなところからこの県名ができたらしい。俺は自分がオオカミ県の出身だということを意識したことはなかった>という出だし。迫力満点の絵と相俟って期待大。ネットの書きこみで「オオカミ県の奴らはステーキを食うから田舎者だ」という悪口を見つけ、気になり東京に出てきた俺は――。溝上幾久子の力感溢れる銅版絵に彩られた、多和田葉子の風刺が効いた初絵本。さて、この寓話をどう読む。⇒2021/05/08
寂しがり屋の狼さん
119
図書館にてタイトルひかれて…『オオカミ』だからね(笑)不思議なお話し🌜️銅版画の挿絵が繊細で素敵です(*^-^*)2021/04/29