内容説明
ロダンの唯一の日本人モデル、森〓外の小説「花子」のヒロイン、そして、世界的に活躍するアーティストの先駆者でもあるマダム花子(1868‐1945)とは、いかなる女性であったのか―。
目次
第1章 花子の生い立ち 一八六八‐一九〇二年
第2章 「マダム花子」の誕生 一九〇二‐一九〇六年
第3章 ロダンのモデルとなる 一九〇六‐一九一七年
第4章 各国の舞台に立つマダム花子 一九〇七‐一九一二年
第5章 名声を博したマダム花子 一九一二‐一九二一年
結び 花子の縁者・澤田助太郎ご夫妻書面インタビュー
著者等紹介
根岸理子[ネギシタカコ]
ロンドン大学SOAS(School of Oriental and African Studies)大学院博士課程修了。PhD。現在、東京大学教養学部LAP特任研究員。専門は近代日本演劇(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
16
20世紀初頭に欧米の国々を巡業して回り大変な人気を誇った人気女優。彫刻家ロダンは彼女をモデルにし、スタニスラフスキーの前で日本の演技のデモンストレーションをし、森鴎外の小説のモデルとなった女性なのですが、その存在を初めて知りました。こういう女性はとかく派手で恋に生き贅沢で身を持ち崩し……というイメージになりがちだけど、彼女はとにかく努力家で賢くビジネスセンスも持ち合わせていた。さらに帰国してからは穏やかな人生を送ったというのが興味深い。薄い本でコンパクトにまとまって面白かったです。2022/04/16
バーベナ
2
幼いころから旅芸人だった彼女は、10年間主婦をし離縁後「喰うため」に欧州へ。グル~っとまわり、米国公演、日露戦争の頃には、ロシア公演も成功させる。その歴史を追うだけで、驚きの連続。演じることで培われていった、しなやかな筋肉に生き方が現れている。そんな花子は、ロダンがモデルにした唯一の日本人。家族同様の扱いで、フランスのロダン邸に滞在しモデルをしたのだそう。それだけで満足してしまいそうだけれど、あくまでモデルは余暇。一座の団長として様々な交渉をし、女優として舞台に立つ。なんて働き者。2021/09/16