内容説明
生誕140年、没後60年!永井荷風「〓東綺譚」の秘密。政治学、図像学、地政学で荷風と玉の井の秘密を新たに解き明かす!
目次
第1章 永井荷風の「復活」―『つゆのあとさき』と女給
第2章 ヒモと金の“物語”―『ひかげの花』と私娼
第3章 『〓東綺譚』の読まれ方―研究史概観
第4章 玉の井への道程―『断腸亭日乗』と『寺じまの記』を読む
第5章 玉の井の政治学―消えたラビリンス
第6章 玉の井の図像学―「ぬけられます」からぬけでるために
第7章 玉の井の地政学―永井荷風と地図
第8章 「報告文学」の季節―『〓東綺譚』の受容から
著者等紹介
嶋田直哉[シマダナオヤ]
1971年生まれ。立教大学大学院文学研究科日本文学専攻博士後期課程中退。フェリス女学院中学校・高等学校教諭、志學館大学人間関係学部准教授を経て、明治大学政治経済学部准教授。博士(文学)。専攻は日本近代文学・現代演劇批判(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワッピー
30
「濹東綺譚」を頂点として、荷風の描いた私娼たちの世界の背景に迫る論考。「つゆのあとさき」や「ひかげの花」の背景から説き起こし、次第に玉ノ井界隈に迫っていきます。多くの読者が惹きつけられる理由は「場」としての玉ノ井の在り方と荷風の特徴である懐古観が見事に重なった結果のようです。「墨東~」挿画家木村荘八のレポート「墨東挿画余談」でも、取材の際に懐古の念を抱いたとあり、共通する懐かしさを惹起する要素があるのかもしれません。これから何度も読むであろう「墨東~」の不思議な世界を一層深堀りすることができました。2019/11/22
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