内容説明
戦後の創作動向に焦点を当て、敗戦による焼跡の復興から高度経済成長にいたるまでの昭和20年代に発表された膨大な作品群の中から「妖美」と「推理」をテーマにした作品を精選集成。70年ぶりに甦る地方新聞連載の中編「吸血劇場」など全17篇の創作に評論・随筆13篇を収める。巻末には四女・渡辺東氏の書下ろしエッセイ「父と私の渋川の思い出」を収録。
目次
創作篇(姿なき花婿;紫水晶の女;焼跡の悪魔達;窓辺に天使ありき;黒猫館の秘密 ほか)
評論・随筆篇(弟ワタナベオンの想ひ出;薔薇雑記;新版 薔薇雑記;探偵小説文学論;五〇年度の回想と五一年度への展望(幹事へのアンケート) ほか)
著者等紹介
渡辺啓助[ワタナベケイスケ]
1901年、秋田県生まれ。本名・圭介(けいすけ)。九州帝国大学法文学部史学科在学中の29年、実弟の温とともに江戸川乱歩名義でE・A・ポーの短編を翻訳し、映画俳優のゴーストライターとして「偽眼(いれめ)のマドンナ」を執筆する。卒業後は教員を務めながら創作活動を行い、37年より専業作家となった。42年、陸軍報道部の従軍記者として大陸に派遣され、その時の体験を基にした小説「オルドスの鷹」などが三期続けて直木賞候補に挙げられた。戦後は作家グループのまとめ役として日本探偵作家クラブ(現・日本推理作家協会)会長を務め、SF同人グループ“おめがクラブ”の創立にも尽力。書画や詩作なども積極的に手掛けており、80年には文芸サークル「鴉の会」を立ち上げた。2002年逝去
小松史生子[コマツショウコ]
1972年、東京都生まれ。金城学院大学文学部日本語日本文化学科教授。専攻は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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