内容説明
2015年8月、文科省は少子化対策を盛込んだ高校保健体育の教材『健康な生活を送るために』を発行したが、その中の「妊娠のしやすさと年齢」グラフは改ざんされたものだった!妊娠・出産に関するウソの構造。
目次
序章 高校保健・副教材事件とは何か
第1章 グラフを見たら疑え―「専門家」が誘導する非科学
第2章 「高校生にウソを教えるな!」集会と「専門家」たちへの質問状
第3章 「子ども=生きがい」言説の危うさ
第4章 「卵子の老化」騒ぎと選択―考えるために必要な情報を
第5章 隠蔽される差別と、セクシュアル・マイノリティの名ばかりの可視化
第6章 日本人は妊娠・出産の知識レベルが低いのか?―少子化社会対策大綱の根拠の検討
第7章 人口政策の連続と非連続―リプロダクティブ・ヘルス/ライツの不在
第8章 「結婚支援」と少子化対策―露骨な人口増加政策はいかにして現れるか
終章 日本の人口政策を世界の流れから見る
著者等紹介
西山千恵子[ニシヤマチエコ]
1958年東京都生まれ。1987年お茶の水女子大学大学院修士課程修了。大学非常勤講師
柘植あづみ[ツゲアズミ]
1960年三重県生まれ。1994年お茶の水女子大学大学院博士後期課程単位取得退学、1996年博士(学術)。北海道医療大学教員を経て、明治学院大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てくてく
7
少子化対策に関連した教材の「妊娠のしやすさと年齢」グラフは改ざんされたものであるにもかかわらず、その数値が正しいものとして流布されている状況を指摘するほか、少子化対策が家族の多様化や性的マイノリティへの配慮を欠いている点などが興味深かった。2017/07/05
Jennifer
1
薄っぺらい副教材の小冊子で、一冊の本が書けるだけのツッコミどころがあった、というところがまず、この問題の深刻さを表している。自分が高校の時の保健の授業を思い返してみても、不妊の話は本当にさらっとしていたし、ましてやセクシャルマイノリティの話など微塵も出てこなかった。この本は、単に副教材への政治的意思の介入への批判にとどまらず、義務教育での性教育・保健のあり方へ警鐘を鳴らしている。人類全員、絶対に関わる大切な教育が、どうして他教科より疎かに、ずさんに行われているのだろうか、改めて考える機会になる良著。2017/07/24
み
0
批判されている側が悪質であることは疑いようもないし、これを問題として議論を積み重ねることに意義を感じるけれど、気持ちが先走って非論理的な部分が散見されることが気になってしまう2022/01/24
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- 和書
- さいはての彼女 角川文庫