内容説明
E・A・ポオの作品に見立てた連続殺人事件。盗まれたポオの手稿と殺人事件の謎を追う究極のビブリオミステリ。多数のペンネームで活躍したアメリカンB級ミステリの女王アメリア・レイノルズ・ロングが遂に日本初紹介!
著者等紹介
ロング,アメリア・レイノルズ[ロング,アメリアレイノルズ] [Long,Amelia Reynolds]
1904‐78。アメリカ、ペンシルバニア州生まれ。別名義にカスリーン・バディントン・コックス、パトリック・レイン、エイドリアン・レイノルズ。1930年代にパルプ雑誌へ短編SFを発表し、やがて長編ミステリの筆も執るようになる。終戦後は量産体勢に入り、精力的な作家活動を展開するようになったが、52年にエイドリアン・レイノルズ名義で発表した“The Round Table Murders”を最後にミステリ作品の執筆を終え、以後は作詩と教科書編纂に専念する
赤星美樹[アカボシミキ]
明治大学文学部文学科卒。一般教養書を中心に翻訳協力多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
30
戦時中の空気は全く感じさせない、ミステリガジェット盛り込んだ玩具箱のような作品。登場人物たちがディスカッションをするシーンが多く、小さな謎解きを段階的に仕掛けながら、次から次へ起こる殺人で読者の興味を持続させる、インパクト勝負のB級らしい味わい。重要な電話のシーンがごちゃっとしてて分かりにくいし、せっかくの見立てが活かしきれてないし、犯人当てもロジカルとは言えない、しかしながら探偵までもポオに見立てた解決場面を演出する正統派には出来ない悪乗りは面白かった。2018/04/21
飛鳥栄司@がんサバイバー
21
ライトな感じでサクッと読めるミステリ。探偵役のキャラ2名も爽やかで好感がもてる。ただしミステリ部分は弱めで、物的証拠がなく状況証拠と自白に頼っていたり、ポオの作品の見立てについての必然性が薄い。アリバイ崩しがメインになっているが、登場人物の会話の中だけで真相が完結してしまっていて説得力に欠ける感じが否めない。ミステリ観点の反面、ストーリーの運び方は上手で、ポオの未発見原稿の盗難から派生する連続殺人という流れは魅力的だし、各章のポオの作品名を持ってきたりと読者を楽しませる要素は満載である。2017/02/03
lovemys
10
えー! 面白かった! B級パルプマガジンミステリーというので軽く考えていたけど、結構面白かった! 確かに、これだけの登場人物だと犯人はあの人しかいないとすぐ分かってしまうが、途中で、アレ? 違うのかな? アレレレレ? などのミスリードもあり楽しめた。電話でのアリバイなどが複雑だったりとかもありましたが、1940年代のゆったりとした時間の流れの中の学園生活とか寮の雰囲気とかも興味深かった。プロファイリングの走りのような面白さもありました。全体的にとても面白かった。シリーズ、あと一冊翻訳されてるとか。読もう!2025/07/26
橋川桂
6
これがほとんど初邦訳らしい作家で、当然ファーストコンタクト。翻訳の力もあるのかもしれないけど、1944年の作とは思えないほど古さを感じず、すっと入り込めた。パソコンも携帯電話も出てこないのがむしろ不思議なほど。気軽に楽しめるライトミステリという感じで、シリーズの他作品もぜひ読みたい。2017/11/16
セレーナ
4
タイトルに惹かれて読んだが、実はポオは読んだ事がない。有名なタイトルをいくつか知ってるだけ。各章がポオの小説に重なり、連続殺人が起きる。40年代の大学を舞台にしているが、電話交換などを除けば「ビバリーヒルズ青春白書」のような世界観。正直無理やりな場面も多かったが全体的読み安かった。せめてモチーフになったポオの作品はあとで読もうと思う。2018/10/16