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内容説明
ガウェインの誕生と若き日のアイデンティティ確立の冒険譚!婚外子として生まれ、漁師に拾われ養われた「名無しの少年」から「外衣の騎士」に栄達し、ローマ皇帝の命により聖都エルサレムを異教徒から解放する。そしてアーサー王の宮廷で偉勲を樹て、遂に王の甥「ガウェイン」たる我が身を知るに至る、一種の“貴種流離譚”。原典より本邦初訳!
目次
第1部 ガウェインの誕生と「名無しの少年」時代
第2部 帝都ローマにおける「外衣の騎士」叙任と聖都エルサレムの解放
第3部 アーサー王の宮廷におけるガウェインの勲功とアイデンティティの形成
著者等紹介
瀬谷幸男[セヤユキオ]
1942年福島県生まれ。1964年慶應義塾大文学部英文科卒業、1968年同大学大学院文学研究科英文学専攻修士課程修了。1979~1980年オックスフォード大学留学。武蔵大学、慶應義塾大学各兼任講師、北里大学教授など歴任。現在は主として、中世ラテン文学の研究、翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koning
32
瀬谷訳中世ラテン語による騎士物語。お高いんですが、薄いです。どんだけ需要ないんだ!ってのがわかります(泣。アーサーの姉とノルウェーの王子がデキちゃってできちゃったガウェインくん。ばれたらまずいから一応証拠もたせて国外に〜。という英雄譚お約束の生誕の秘密からローマで皇帝に認められてその武勇を示してから誉れ高いアーサー王のもとへ行く!っていうこの手のお約束の筋立て。読むべきはやはり初期アーサー伝説の香りを伝えるところであったり、東ローマや聖地への旅での当時の習俗など。2016/07/09
syaori
24
タイトルどおりの本。アーサーの姉とノルウェイ王との間に、彼らの結婚前に生まれてたために秘密裡に商人にあずけられ、その後運命のいたずらによってローマで成長したガウェインがアーサーの宮廷で功績を打ち立て、「特別なる栄誉」を与えられるまでを描く一種の貴種流離譚で、ランスロット卿やトリスタン卿などの騎士たちが加わる前の初期のアーサー王伝説の面影を見ることができます。ガウェイン卿が好きな方はぜひ。個人的には有毒のガマガエル、猛毒のエジプトコブラ、赤毛の男の血と竜の血などを集めて作るギリシア火薬の製法に興味津々です。2016/09/08
遊未
4
ガウェインの出生からアーサー王に認められるまでの物語。その後のガウェイン物語と異なって騎士の理想像としての姿が描かれています。以前から気になっていたのは、ガウェインのパワーが太陽の運行に依存し、正午に最盛を迎える点です。ガウェインの名が「5月の鷹」を意味し、太陽神に起源するとのことで納得です。2018/02/07
刳森伸一
3
タイトル通りアーサーの甥にして円卓の騎士の一員であるガウェインの幼少期から青年期にかけての物語。時代が後になるにつれ、乱暴者のイメージが付いてくるガウェインだが、本作ではアーサーよりも秀でた優秀な騎士。物語も伸びやかで軽快、読んでいて楽しい。2017/11/24
たかし
3
マロリー版がでる前の、ガウェインの地位がけっこう高かった時代の作品。ガウェインが若いころ、ローマで過ごした時期があるという話はブリタニア列王記にもあるのだけれど、それなりにつじつまを合わせてます。マロリー版では、女にだらしなかったり、復讐心が強いという姿のガウェインですが、高貴な感じでいいですね。ただ、アーサー王に対して皮肉を言ったり、ちょっと辛辣な姿ははじめて見た。本編は100ページにも満たぬ薄い本ですが、買う価値はあるよ。2017/01/21