内容説明
都新聞での第六回連載「大菩薩峠(第六篇)」の第一回から一四五回まで(大正十年一月一日~五月二十五日)を収録。
著者等紹介
中里介山[ナカザトカイザン]
明治18(1885)年、神奈川県西多摩郡羽村(現、東京都羽村市)生まれ。13歳で上京し、電話交換手、小学校教員となり、平民社周辺の社会主義運動に参加。その後、社会主義を離れ、明治39年に都新聞社(現在の東京新聞社)に入社する。明治42年に初の新聞連載小説を執筆し、未完の大作となる「大菩薩峠」は大正2(1913)年より連載を開始。都新聞での連載終了後は、東京郊外に居を構えて、大阪毎日新聞(東京日日新聞)、国民新聞、読売新聞、介山が出版する雑誌『隣人之友』などに書き継いだが、昭和19(1944)年に腸チフスにより逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みつ
18
ここから都新聞連載の第六篇が始まる。盲目の法師弁信、後に美少年として可愛がられる茂太郎が冒頭から登場するが、すぐに場面は転換。両名がどう関わるかは判然としない。その後はお馴染みの人物たちが組み合わせを変えながら登場するが、その多彩さの分だけいよいよ物語の行方は混沌とする。美人画の顔に針を刺すお銀様のエピソード(p111)、彼女と米友、お角の三スクミの体も紹介される(219)。辻斬りを重ねる龍之介の回想場面(p240)は、彼と関わった人物の名が連なり、物語の大詰めも微かに予感させるが、登場人物は増える一方。2023/04/29
きょちょ
16
この巻から、大菩薩峠第六篇。 仇討の話が進まない原因は、1日50里も移動できる忍者のような七兵衛にある。 最初の頃から登場する彼は、そもそも兵馬に同情し、仇討の手助けをするのが目的の一つだったのに、今や他のことばかりしている。 それは当然作者の意図なのだが・・・。 この巻で最も注目するところは、龍之助ともう一人の主人公と言えなくもない米友の出会い。 短気で正直者の米友だから、龍之助の人を斬る理由を聞けば、当然一悶着ありそうな筈・・・。 ところが、「ううむ」と唸るだけで終わってしまうのは残念。 ★★★2016/03/28
訪問者
5
米友を始めとした複数の登場人物達が活躍する群像劇となってきた。この話はいったいどこへたどり着くのだろう。2016/12/20
あきひと
4
既出の人物同士が今度はこっちがくっつき、あっちがくっつき、さらに新たな人物が登場してくるので、いよいよ混沌としてくるのだが、どうやら米友が物語の要的なますます重要なポジションになってきていて、でも直情型で深く洞察することのない彼には荷が重すぎだと思える展開になってしまうし、残り一冊はどう展開するのか、分かりません。2023/05/24