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内容説明
紺碧海岸の酒場でメグレ警視が出会った女性たち。黄昏の街角に残響する人生の哀歌。長らく邦訳が再刊されなかった「自由酒場」79年の時を経て完訳で復刊!
著者等紹介
シムノン,ジョルジュ[シムノン,ジョルジュ] [Simenon,Georges]
1903‐1989。ベルギー、リエージュ生まれ。中等学校を中退後、職を転々とした末、“リエージュ新聞”の記者となる。1919年に処女作“Au Pont des Arches”を発表。パリへ移住後、幾つものペンネームを使い分けながら、大衆雑誌に数多くの小説を書いた。66年にはアメリカ探偵作家クラブの巨匠賞を受賞した
佐藤絵里[サトウエリ]
東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業。英語、仏語の翻訳を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
31
この本を八重洲ブックセンターの棚で見つけたとき、買おうかどうかしばらく迷った末、泣く泣く断念した。 他に買いたい本がたくさんあって所持金が足りなかったのだ。 まず、装丁に強く惹かれた。 コート・ダ・ジュール!碧い海、白い砂、ヴァカンス、パイプをくわえたメグレ。 昔、職場の若い女の子に河出書房新社のメグレシリーズを貸したら、ひどく不評をかったことがあったっけ。 どうやらメグレはオジサンにしか分からないらしい。 2017/04/08
飛鳥栄司@がんサバイバー
18
フランスミステリは、ショッキングな殺人シーンとサスペンス性が強い印象だが、メグレ警視シリーズは静かな作品イメージを個人的に持つ。本作はメグレ警視が紺碧海岸(コートダジュール)での殺人を追う。栄華と退廃という人間の表と裏を、少ない登場人物と風景描写で見事に描き切っている。事件に強いスポットを当てていないが、海岸線の寂れたバーの女2人の心情を通すことで、犯人が殺人に至る刹那さを引き立ているのだ。上層部からは「波風を立てるな」と念を押されていることもあり、メグレの内に向く感情の描写も読みどころのひとつである。2015/03/09
bapaksejahtera
14
1932年作品で戦前出版本の再訳。その価値はある。豪州の羊毛事業家の当主が事業活動で訪れていたコート・ダジュールに惚込む放蕩の果て、豪州本宅の家族から禁治産扱いされ、ここに情婦と共に長く逼塞する。ある時その門前で刺殺体で発見され、メグレが捜査を命ぜられて一人派遣される。対外関係もあり、本庁から「波風をたてるな」の指示。元々士気の上がらぬメグレは、いつもの地を這う捜査の中でニースの裏町の「自由酒場」に辿り着き、被害者も最後には共感し沈殿した軽薄で無頓着な環境にはまり込む。以下メグレ世界での事件解決となる佳品2023/09/27
うさうさありす
6
古いの推理小説が好きな私ですが、ホームズやルパン、ポアロと比べるとメグレシリーズにはあまり馴染みがありませんでした。勿論幾つかの作品を読んではいるのですが、愛妻家の印象だけが残っているだけで、どんな事件を解決したかを問われると答えに困ってしまいます。本作は短い作品だった事もあり、短時間でスラスラと読めて楽しめましたが、後々まで覚えているかと言うと微妙ですね。2015/04/02
コカブ
6
紺碧海岸(コート・ダジュール)で、別荘地に暮らす男が殺された。男は軍の情報部のために働いた経歴を持つため、事を荒立てずに解決するようメグレに指令が下る。メグレはパリから南仏に向かった…。/1932年の出版なので、舞台は戦間期。メグレは地道に捜査に当たる。男には愛人、行きつけの店、故郷に残してきた家族がいて、メグレは聞き込みに回ることになる。本当に警察が捜査する小説だ。メグレは探偵のように天才的な手腕を発揮することはないが、地道に真相に近づいていく。これがメグレらしい話なのだろう。2015/03/18