内容説明
パリ警視庁賞受賞作家による法廷ミステリ。フランスの平和な街で突如起きた殺人事件。街を飲み込む噂と裁判!
著者等紹介
ディドロ,フランシス[ディドロ,フランシス] [Didelot,Francis]
1902‐1985。本名ロジェ・フランシス・ディドロ。マダガスカル、タマタブ生まれ。パリの大学で法律を学ぶ。その後、ラジオ、テレビ、映画の仕事に関わり、脚本を執筆し始める。1934年にLe Drame de Saint‐L´egerを刊行し、小説家としてデビュー。49年『月明かりの殺人者』がパリ警視庁賞を受賞
松井百合子[マツイユリコ]
法政大学在学中アテネフランセでフランス語を習得。大学卒業後、フランス、ストラスブルグ大学フランス語学科に留学。帰国後フランス系外資金融機関東京支店勤務を経て現在翻訳に従事している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もりくに
31
フランスのお話。夫婦で薬局を営み、街の信頼の厚いグレゴワールは、散歩でたまたま水浴びする蓮っ葉な娘ローラを、盗み見てしまう。「シメタ!」と通り過ぎればどうということないのに、「誰かに見られたら、大スキャンダル」と、ローラを殺してしまう。本のタイトルが示すように、犯人捜しの話ではなく、「裁判」の話。と言っても、「12人の怒れる男」のように、陪審員が喧々諤々やるわけではない。容疑者はすぐにあっけなく捕まる。彼女が付き合っていた「他の」街から来たチンピラのソートラル。そして、7人の陪審員選びが始まる。(続く)2018/11/10
飛鳥栄司@がんサバイバー
16
いろいろ書くとネタバレになるので、感想が難しい。ぶっちゃけ「法廷ミステリ」の体はなしているはいるが、純粋な「法廷ミステリ」ではなく、どちらかというと「ユーモアミステリ」の部類に入るのではないだろうか。 主人公が持つ事件に対しての「恐怖」と、自分達の思い通りに事が運ばなくなることで生まれる群衆の「恐怖」が、主人公の心情を中心に書かれていて良いサスペンスに仕上がっている。どこか、フランス革命時に国王を始めとした主要な国のトップの首が刎ねられるのを見て、民衆が盛り上がっていくフランスの残虐性と同じものを感じた。2015/03/11
koo
6
殺人者である主人公が冤罪の容疑者を救おうと奔走するものの自首する気は一貫して全くないのがユニークでした。裁判の進行には期待したような見所はありませんでしたが終盤の予想外な展開にはフレンチミステリらしい皮肉が効いていました。バークリーの「試行錯誤」の様な作品かと思って読み始めたものの随分違った読後感でしたがまずまず楽しめましたね。ただリーガルミステリ的面白さももう少し欲しかったですね。2022/07/10
chonta
3
衝動的に人を殺してしまった主人公が、自分の代わりに逮捕された男の無実を訴えて、奮闘するブラックユーモアミステリ。主人公の自分勝手な正義感もおかしいんだけど、ムラ社会のイヤラシイところを余すところなく描いていて面白い(っていうのも語弊があるかしら…)。きっとこういうオチだろうなあと思いながら読んだけど、ちょっと意外なオチでした。2015/03/16
くろ
2
法廷ミステリが好きで、数年前に興味をもった本作にブックカフェで偶然出会い購入。法廷ミステリとしての面白みや、テーマにあまり入り込めなかった。独特の語り口のためにも物語に乗れなかったし、フランスの固有名詞も覚えられなかった。流し読みしてしまった。反省。2022/04/17