内容説明
江戸川乱歩に「情操派」と評された山下利三郎と並ぶ創作探偵小説黎明期の先駆者による初の作品集成、第1巻!
目次
創作篇(呪はれた真珠;美の誘惑;財布;蒔かれし種―秋月の日記 ほか)
評論・随筆篇(日本の探偵作家と作品;無題;鈴木八郎氏に呈す;あらさが誌 ほか)
著者等紹介
本田緒生[ホンダオセイ]
1900(明33)年、愛知県名古屋市生まれ。本名・松原鉄次郎。別名・あわぢ生。少年時代から『日本少年』や『文章世界』に投稿。1922(大11)年、『新趣味』の懸賞探偵小説募集に「呪はれた真珠」を投じ、選外佳作に入選してデビュー。翌月には「美の誘惑」が同募集で2等当選。これら二編に登場する青年探偵・秋月圭吉シリーズの他、「財布」(24)、「街角の文字」(26)他の銀行員・山本秋雄を狂言廻しとするユーモア・シリーズを発表
横井司[ヨコイツカサ]
1962年、石川県金沢市に生まれる。大東文化大学文学部日本文学科卒業。専修大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。95年、戦前の探偵小説に関する論考で、博士(文学)学位取得。現在、専修大学人文科学研究所特別研究員。日本推理作家協会・本格ミステリ作家クラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tokyo-zodiac
1
戦前派探偵作家・本田緒生(おせい)。懸賞小説ながら、「二銭銅貨」の乱歩より一年早いデビュー。デビュー作「呪われた真珠」「美の誘惑」「蒔かれし種」に登場する秋月圭吉は、三河の半七に次ぐシリーズ探偵と言えなくもない。チェスタトンのアレを思わせる「美の誘惑」がまあまあ面白いか。続いて銀行員の山本君が狂言回し的役割を果たす「財布」「街角の文字(もんじ)」「ひげ」等は、ユーモアコントとして楽しめる。そうかと思えば「視線」「無題」のようなニューロイックな作品もあり、一種の復讐譚「寒き夜の一事件」も強く印象に残る。2014/06/17
Genei-John
0
掌編『鮭』など、下らないのに、意外に面白い。本田緒生、こんなに面白いとは思わなかった(でも、人に勧めようとは思わない)。2014/04/04