内容説明
時局下に書き継がれた幻の探偵小説集。犯人当て懸賞小説「黒い東京地図」、文体模写小説「死後の眼」ほかデビュー作から遺作までを俯瞰。「蚯蚓語」などのエッセイも同時収録。
目次
創作篇(息を止める男;足の裏;〓(あぶ)の囁き―肺病の唄
鱗粉
雷 ほか)
評論・随筆篇(蚯蚓語;儚;緑衣の鬼;謎の夢久氏;新緑蚯蚓語 ほか)
著者等紹介
蘭郁二郎[ランイクジロウ]
1913(大2)年、東京都生まれ。本名・遠藤敏夫。別名・林田葩子。東京高等工業学校の電気工学科に入学した1931(昭6)年、平凡社版『江戸川乱歩全集』の付録小冊子『探偵趣味』の掌編探偵小説募集に「息を止める男」が佳作入選。35年、探偵小説愛好家の仲間と『探偵文学』を創刊し、「足の裏」(35)「蝕眠譜」(同)「〓(あぶ)の囁き」(36)などを発表。37年、後継誌『シュピオ』の編集実務に携わり、『探偵文学』時代からの連載長編「白日夢」(36~37)を完結させた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tokyo-zodiac
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蘭郁二郎の小説は全くの初読。これまでSF幻想系のイメージが強く『火星の魔術師』(国書)や『魔像』(筑摩)もスルーしていたが、本書を読んで意外にも本格系の作品が多かったことを知る。トリックの巧拙はともかく、犯人当ての「黒い東京地図」や、「鱗粉」「雷」「設計室の殺人」「楕円の応接間」等がある。初期の乱歩を思わせる「足の裏」やユーモラス感漂う「黄色いスヰトピー」「寝言レコード」も印象的。エッセイでは科学小説待望を論じる一方、悪の一味と少年の追っかけっこや、荒唐無稽な装置に苦言を呈すなど、氏の矜持を見た思い。2013/11/10
Genei-John
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『楕円の応接間』から引用。『後者は超人的なゴリラが犯人であったりするものであり』…ゴリラじゃない。2013/09/12