内容説明
青木淳子は常人にはない力を持って生まれた。念じるだけですべてを燃やす念力放火能力―。ある夜、瀕死の男性を“始末”しようとしている若者四人を目撃した淳子は、瞬時に三人を焼殺する。しかし一人は逃走。淳子は息絶えた男性に誓う。「必ず、仇はとってあげるからね」正義とは何か!?裁きとは何か!?哀しき「スーパーヒロイン」の死闘を圧倒的筆致で描く。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年東京都生まれ。’87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。’93年『火車』で山本周五郎賞。’97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞。’99年『理由』で直木賞。2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、’02年司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞。’07年『名もなき毒』で吉川英治文学賞。’08年英語版『BRAVE STORY』でThe Batchelder Award受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
222
念力放火能力ーパイロキネシス・・自分にそんな能力があったらどうするだろう。隠れてい生きていても、降りかかる火の粉は払わねばならない。そして自分の中に『義』があれば、私も使うかも・・そんなことを思わせる、上巻。『鳩笛草』の中の『燔祭』を読んで、読み友さんから勧められて今頃出会う。ーあたしは、装填された銃だ。-あゝ、この青木淳子はどうするのだろう・・このまま下巻へ。2019/04/03
yoshida
206
再読。念力放火能力を持つ青木淳子。その能力は念ずるだけで対象を燃やし尽くす。成長し能力を上手く扱えるようになった淳子は、法の裁きを逃れた凶悪な犯罪者達を追い、能力で処刑する。はたしてそれは正義の執行か、能力者の傲慢なエゴか。ただの私刑と何が異なるのか。淳子は懊悩する。そして念力放火能力そのものが、力の誇示を求め始める。圧倒的な力を持つが故の淳子の懊悩と孤独、卑劣な悪人の描写が実に読ませる。そして弟を喪い刑事になった牧原への、継母の言葉に救いがなく哀しい。宮部みゆきさんの筆力で実に読ませる。一気読みの上巻。2018/02/01
zero1
156
なぜ、復讐を描いた作品は支持されるのか?それは怨嗟の声が世に満ちているため。司法制度は「天に代わって成敗」していないと多くの人は思っている。「装填された銃」青木淳子が「燔祭」に続き再登場。警察が検挙できない悪人を、火を用いて裁く。彼女を追うのが中年女性刑事の石津。焼死事件を追う牧原から意外な過去を聞く。S・キング作品が強く影響している。派手に殺しまくる淳子。彼女にガーディアンと名乗る男が接触。叶という残党の情報を得た淳子は彼を抹殺。結末は下巻で描かれる。2018/12/26
紫陽花
92
念力放火能力を放ち、法で裁ききれない極悪人を次々と焼き殺す。宮部さんの本にしては話が分かりやすく、展開も早いので、どんどん読み進めることができました。最後の方に出てきた「ガーディアン」、どのように関わってくるか楽しみです。下巻に進みます。2019/10/11
ゆか
92
随分前に何度か読んだ事のある本作。久しぶりだったせいか大まかな流れしか覚えておらず、初読のように楽しめた(笑)本書の前作を最近読んだので、本作が読みたくなった。人はやっぱり自分の為だけではなく、人の為に何かを成し遂げたい。彼女が能力を使う場所を探しているのは、そういう感情ゆえの事。超能力物ですが、主人公が超能力に引っ張られ、凶器と化していく中で、心の中の孤独や弱い部分が描かれているのが本作のいいところ。主人公への好き嫌いは出そうですが、好きだったであろう多田さんとのやりとりが切ない…。2016/09/29
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