内容説明
ギリシャ演劇全作品の解説、こぼれ話として「観劇前の基礎知識」、関連地図、系譜、年表など、ギリシャ演劇を観るために、読むために、そして上演するための必読書。
目次
1 基本的な作品―ギリシャ悲劇の輪郭をとらえるために
2 アルゴス王家の物語―家族間の連続殺人事件はなぜ始まり、どう終わったか
3 トロイア戦争の英雄たち―勇者が名を残すのは必ずしも戦いとはかぎらない
4 トロイア王家の物語―敗戦国の女性たち、その後の運命を追う
5 帰国できない漂流者たち―地中海は狭いようで広い
6 テーバイ王家の物語―激しい怒りは常に不幸を招く
7 英雄ヘラクレスの物語―神ゼウスの子はすべてにおいて規格はずれ
8 女たちの殺害計画―覚悟を決めた女はまっすぐに突き進む
アリストファネスの喜劇作品
著者等紹介
山形治江[ヤマガタハルエ]
1959年生。早稲田大学大学院博士課程満期修了。1987~1990年アテネ大学にギリシャ政府給費留学。日本大学生産工学部教授。2003年度湯浅芳子翻訳賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
224
【再読】公式記録に残る歴史上、最も古い劇は、おそらくギリシャ劇だろう。本書はテーマ別に32の悲劇作品と11の喜劇作品の”背景・あらすじ・観劇と上演ための参考”が掲載されている。悲劇は、主にギリシャ神話が元ネタになっているので、現在の日本人でも馴染み深い物語が多い(例えば、『縛られたプロメテウス』『アガメムノン』『エレクトラ』『オレステス』『オイディプス王』『ヘラクレス』など)。2022/03/05
ヴェルナーの日記
3
戯曲といえば、その発祥源はギリシャ劇である。日本人には少しばかり縁遠いものだが、すべての道はローマへと続くように、演劇はギリシャ劇へと通ずるのである。 本書は、現存するギリシャ劇の内容(あらすじ)と、その背景、観劇と上演に対するコメントが添えられている。初心者にもわかり易く記述されているので、読みやすい。 ギリシャ劇を読み解くことは、現代の映画やドラマなどの元ネタを観ることに等しい。何故なら、どんな物語でさえも分類すれば、31通りの筋書きでしかないのだから。その意味で本書を読み価値は十分にある。2013/04/19
颯奏
2
他にもギリシャ劇の本をちら見しましたがこれが一番わたしには読みやすかった。入口として◎だと思う。2015/06/08
のほほんなかえるさん
2
遠くて難しい?そんなことないわよギリシャ劇。人間ドロドロ劇的世界は今も昔も変わらない!?案内役として、どうぞご賞味あれ。2011/12/27
nightowl
1
作品によっては~の地の…がと延々語るだけでどのような粗筋なのか全く分かり難いものもあるギリシャ劇に突っ込みを入れながら親しみ易く解説した本。喜劇についても弁論塾のパロディー「雲」、セックスストライキで休戦は出来るのか?「女の平和」、悲劇作家同士があの世で対決「蛙」など読んでいるだけで爆笑。国の状況が切羽詰まっている時程笑いのテクニックは磨かれるらしい。ただ"弧"島、モワットス(正しくはモロットス)、心が高"陽"など誤植も見受けられる。2018/11/05