内容説明
幻の女性を追い求める大尉―単行本初収録の中編「幻を追う男」、本邦初訳のラジオドラマ・デビュー作「だれがマシュー・コービンを殺したか?」、フェル博士登場のオリジナル版「あずまやの悪魔」の三本のシナリオを収録。不可能犯罪の巨匠ジョン・ディクスン・カーの生誕百周年を記念して贈る初期ラジオ・ドラマ集。シナリオ・コレクション第二弾。
著者等紹介
カー,ジョン・ディクスン[カー,ジョンディクスン][Carr,John Dickson]
1905~77。米国ペンシルヴェニア州生まれ。政治家の息子として生まれ、幼少時より早熟ぶりを発揮。1927年に中編「グラン・ギニョール」を匿名で発表し、30年にその作品を元にした長編『夜歩く』でデビュー。アンリ・バンコラン、ギデオン・フェル博士、H・M卿といったシリーズ探偵を創出し、不可能犯罪物の巨匠と称された。代表作に『三つの棺』(35)、『火刑法廷』(37)、『ユダの窓』(38)など。小説の他に、ラジオ・ドラマの脚本や書評などでも活躍した
森英俊[モリヒデトシ]
1958年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業(在学中はワセダミステリクラブに所属)。翻訳・評論活動のかたわら、ミステリ洋書専門店Murder by the Mailを運営。『世界ミステリ作家事典 本格派篇』で第52回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちどり
27
「だれがマシュー・コービンを殺したか?」インタビュアがフェル博士のもとに尋ね数年前の未解決事件についてインタビューを始める…「あずまやの悪魔」法廷弁護士の友人の女性が旦那の浮気を相談している最中旦那が射殺され その事件は犯人がわからないまま時が過ぎ現在フェル博士と法廷弁護士の対談が始まる…「幻を追う男」一年前一度だけ合った美しい女性が忘れられず探すもどこにもいない 大尉は周りから幻を見たと疑われていたが…ラジオドラマのため地の部分はないですがセリフだけで読みやすいうえ カー節の不気味さも出ていて素晴らしい2017/02/04
紅はこべ
10
カーのラジオドラマ用脚本を三本集めた。フェル博士ものが2本。表題作は歴史もの。カーはミステリとロマンスを絡めるのが割と上手。クリスティには及ばないが。2014/05/29
ソルト佐藤
7
ラジオドラマの脚本。読みやすい(笑 「だれがマシュー・コービンを殺したか?」は、ラジオドラマだからこその趣向が楽しい。「あずまやの悪魔」もそうだけれど、クイーンのラジオドラマみたいになんだかんだとロジカルで、この時代のラジオドラマはこんな感じ? アクションシーンなどはやりづらいなか、クライマックス的に良かったのかな? 表題作の「幻を追う男」は全8回の波乱万丈のお話。それでいて、ちゃんと本格で、最初から伏線が貼らまくっているという。一般的な物語の中に本格ミステリが組み込まれている。カーはもしかして技巧派?2024/11/09
二葉
7
再読。短編二作は短編集に類似したプロット有り。表題作は時代物。2019/08/03
ホームズ
7
表題作である『幻を追う男』が良かった(笑)ミステリというよりも冒険小説のような感じでしたが楽しめました(笑)内容的には『灰色の女』に似た感じでしたね(笑)フェル博士シリーズの2作品も悪くは無かったかな(笑)同じようなパターンが続いてしまったけど(笑)カーのラジオドラマのシナリオも楽しめますね(笑)ちょっと聞いてみたくなります(笑)2011/04/09