内容説明
真っ暗な部屋、すすり泣き、死者からの声。ロンドンのとある屋敷で夜な夜な開かれる降霊会。ひとりの若い女性がその妖しい魅力に絡めとられてしまった。彼女はいつしか霊媒として能力を発揮するようになり、しまいには幻覚が容赦なく襲い、意識が混濁し、容貌はゆがんでいった。彼女の運命は婚約者と一人の医者に託された…。不可能犯罪、錯綜するプロット、迫力の逃亡劇、そして最後に明らかになる驚愕の真相。夭折した作家スプリッグの遺作をお届けする。
著者等紹介
スプリッグ,クリストファー・セント・ジョン[スプリッグ,クリストファーセントジョン][Sprigg,Christopher St.John]
1907~37。ロンドン生まれ。新聞記者、雑誌編集者を経て、航空関係の雑誌社を設立。航空関係の著書を執筆する。ミステリでのデビューは新聞記者のチャールズ・ヴェナブルズを探偵役に据えたCrime in Kensington(1933)。ほかにクリストファー・コードウェル名義でのマルクス主義の研究書や詩集もある
水野恵[ミズノメグミ]
1970年生まれ。インターカレッジ札幌で翻訳を学ぶ。札幌市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りゃーん
1
本格ミステリとはルールや作法が厳守されるジャンルなので、そうそう異色作というものが出ないハズですが、稀にロジャース「赤い右手」、ストリブリング「カリブ諸島の手がかり」、クイーン「第八の日」など、それこそ異常作が出ることがありますが、繰り返しますが、ロジックとプロットでガチガチに決められてこその本格ミステリなので、これを少しでも超えると、幻想文学だの純文学だのの二流ジャンルに堕ちます。 しかし本作は堕ちず、同時にミステリであることの全ての要素が守られる奇跡のような作品です。 タイピストのマージョリーは吝2016/05/14