内容説明
ことの発端は英国国教会の主教がひき逃げされたことだった。その事件の裏に潜むのはダム建設計画。計画が実行されれば、ダムの底に納骨室が沈むという。それは偉人とも奇人とも評される、十八世紀の芸術家の墓であり、そこに未発表の作品も埋められているのらしいのだ。それらを掘り起こし、世に出すべきだと強固に主張する集団。その一人が納骨室の内部に潜入すると、無気味な笑い声が高らかに響いた…。謎が謎を呼び、世界はパニックに陥る。異色作家ブラックバーンの代表作にして、伝奇ミステリの傑作。
著者等紹介
ブラックバーン,ジョン[ブラックバーン,ジョン][Blackburn,John]
1923~93。本名、ジョン・フェニック・ブラックバーン。イギリス、ノーサンバーランド州生まれ。ダラム大学を卒業後、トラック運転手や教師を経て出版社の職に就く。1958年にA Scent of New‐Mown Hay(小社近刊)でデビュー
立樹真理子[リキマリコ]
英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
64
オカルティストの墳墓。執拗にそこを開くのを拒む教会。そこに忍び込んだ男を迎えるは響き渡る哄笑。…とM・R・ジェイムズあたりを愛する欧米の怪奇小説ファンにはもう設定だけで堪らないわけである。序盤はこのように納骨堂の内部へとひしひしと忍び寄るような静かな謎と恐怖を描いているのだけど、ある一転を境にそれがもう大爆発。終盤はその展開に目が点になると同時に、奇妙なカタルシスさえ感じる。現在はジャンルミックスが当たり前だけど、これほどの急旋回は余りお目にかかった事が無い。怪作という言葉がピッタリで、いや面白かった。2019/04/05
ettyan えっちゃん
7
1969年、今から53年前の本。それなのに、何だこの面白さは。いや、古いから面白いのかもしれない。 200年前に死んだ、天才の聖人の墓を暴いたら、大きな嘲笑が聞こえる。暴いた者は血を吹き出して死ぬ。細菌か?呪いか? とんでもないラストが待っていて、一気に読まされたが、読み終えてふとページを見ると245ページ。 ラストの解決方法まで、びっくりさせられる事間違いなし。 面白いは、ブラックバーン。 2022/11/05
nac
4
★★★⭐︎2021/08/15
A-jiro
3
相変わらず、展開に展開を重ねて読者をぐいぐいと振り回す作家である。どちらかというと、『刈りたての干草の香り』よりもこの作品の方がモンスター・パニックではあるように思えるのですが。安っぽいのかしっかりしてんのかって感じも変わらず、とても楽しく読ませていただきました。
Steppenwolf
1
当初は,純粋オカルトホラーかと思ったら,むしろ後半ではSFホラーと言うべきであった。他人から見ると私の趣味は理解しがたいであろうが微生物とか菌のためにパニックとなると言う展開は好まない。よって評価を下げた。2008/05/21