内容説明
目が覚めて見たものは、左右非対称の、不気味で無機質な顔だった。知らない顔、だがそれは紛れもないこの俺の顔…。事故で意識を失った男に施された整形手術。そのいびつなマスクに影を落とす、ある機関の思惑。―ハリウッドのシナリオ・ライターとしても知られるビル・S.バリンジャーの鬼気迫るスパイ・サスペンス。「歪められた男」が謎に挑む。
著者等紹介
バリンジャー,ビル・S.[バリンジャー,ビルS.][Ballinger,Bill S.]
1912~80。米国アイオワ州生まれ。大学卒業後、広告代理店にてラジオの台本を書いた後、執筆活動へ。小説家としてはThe Body in the Bed(48)でデビューするが、50年代はハリウッドで映画・テレビの脚本を多く執筆する売れっ子脚本家でもあった。スタンダードなサスペンスものや、本作『歪められた男』The Lopsided man(69)を含むスパイ小説等、多様なジャンルのミステリを世に出す
矢田智佳子[ヤダチカコ]
1967年東京生まれ。津田塾英文学科卒業。新聞社勤務を経て翻訳業。釧路市在住
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感想・レビュー
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紅はこべ
13
『歯と爪』の作家がこんなスパイものを書いていたとは知らなかった。舞台は冷戦中の西ベルリン。主人公の置かれている状況は複雑すぎて、彼がどの組織に属しているのか、終わり近くに至るまでわかりづらい。描かれているのは顔も名前も変えられたスパイの孤独。ラストの一行が哀切。2009/04/29
Jimmy
3
あのどんでん返しのバリンジャーですが、冒険小説も書いていたとは。それでもやはりそこは好きになった作家、文体がそもそも好きなので最後まで楽しく読めました。2020/03/15
三門 優祐
2
「偏せられた」男の孤独な闘いの記録。2009/07/26
脂肪分
1
冴えない。ストーリーは説明頼りだし、やたらばたばた人が死ぬし。2007/01/09
7kichi
1
初めてバリンジャーを読んだときの興奮にはちょっと遠かった一冊だったが、哀しさが光るラストはマル。2009/01/27