内容説明
哲学とは、「考えること」以外の何ものでもない。あなたが、世界に対して、「どうして?」という問いを発したとき、すでにそれははじまってしまっているのだ。答えの答え、根拠の根拠、意味の意味、ふだんの生活の中で、あるいは科学の営みの中で、「打ち切り」になっている問いをどこまでも徹底して考え抜いたとき、世界が、存在が、時間が、真理が、そして「私」が、あらたに驚きの相のもとに現れてくるだろう。「入門」ではない「哲学そのもの」へと直接導く案内書。
目次
第1部 思考(当惑;問い;哲学;形而上学)
第2部 世界「すべて」(存在;時間;私;真理;場所)
著者等紹介
斎藤慶典[サイトウヨシミチ]
1957年横浜生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程修了。哲学博士。慶応義塾大学文学部哲学科教授。専攻は、現象学、西洋近・現代哲学。思考の可能性を徹底的に問う営みを続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白義
11
新書にしては高度すぎる。一部は世界への違和感、当惑から始まる問いと答えという構造で、哲学の始まりをうまく表現しているけど、二部以降の著者の存在論、形而上学はかなり難しい。世界への問いを重ねていった先の、究極の根源への思索の誘い、遂行。今時の新書としては異例のハードな本だと思う。フランス現代思想を経由して初期ギリシャ哲学に還ったとも言える独特の一冊。だいたいの人は一部だけで用は済むかもしれないが、折に触れて再読したい2012/04/17
ひだりかわ
8
思考、哲学がどのようにはじまりうるのかという思考観からはじまり、「ある」「ない」を軸とした世界観は、既存の哲学の議論をかなりの割合でなぞっているように見えるが、その上で非常に新鮮に感じられた。これはまさに著者が思考とは反復であり、その偏差である、ということを本書全体を通して示したのだと言えるだろう。「無限定なもの」に述語を与えられることによって世界が生まれてくるというのは、ウィトゲンシュタイン的な世界観を彷彿とさせるが、それが必ずしも言語のみによるわけではなない、としているところは特筆に値する。(→続く)2012/07/28
♨️
3
ニーチェ、アナクシマンドロス、カント、ハイデガー、永井均、西田...をもとに超越論的現象学を実際に行なってみせている驚くべき新書本。思考がはじまる瞬間、そのものとしては思考不可能な「無限定なもの」に触れて「構想力」を経由して時間・空間として幅や広がりを持ったものとして現れてくることを、易しい言葉で、それでも手加減することなしに書かれている。現象学の様々な本を読んでから再読したいし、そうした本の副読本としてもすごく良いと思う。2019/02/27
iggydog
0
全然分からない。最初はともかく、あとからあとから不明。ないとか、あるとか、特に時間とか。2016/07/15
おなかム
0
カント。2012/09/14