内容説明
第二次世界大戦下のロンドン。政府の極秘任務に従事していたキャンピオンは、休暇をとり、しばし自宅に立ち寄る。浴室でくつろいでいる彼を待ち受けていたのは、女の死体を抱えて階段を上がってくる年老いた男女だった…。アガサ・クリスティー、ドロシー・L・セイヤーズ、ナイオ・マーシュと並ぶ黄金時代の四大女性探偵作家のひとりアリンガムの傑作、ここに登場。
著者等紹介
アリンガム,マージェリー[アリンガム,マージェリー][Allingham,Margery]
1904~66。ロンドン生まれ。小説家である両親をもち、幼い頃より創作活動を続けていた。仕事上のパートナーでもあった夫のヤングマン・カターは、ミステリに関する本の装丁家として有名である。初めてのミステリ長編は、The White Cottage Mystery(1927)という犯人あての新聞連載小説である。シリーズものとして探偵役を担うアルバート・キャンピオンが初登場したのは、The Crime at Black Dudley(29)であるが、初期は娯楽作品の色が強かった。その後、作風の変化が生まれ、『幽霊の死』(34)以降、文学性を深め、克明な社会背景が描かれ、人物造型にも優れた作品が創られた。その諸作品はクリスティにも高く評価された
佐々木愛[ササキアイ]
1973年生まれ。北星学園女子短期大学英文学科卒
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感想・レビュー
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夢追人009
268
論創海外ミステリの7冊目は黄金時代の世界の四大女流探偵小説作家の一人アリンガム女史の作品ですね。著者は62歳で亡くなられていますが、ちなみにクリスティー女史は86歳の寿命なのですね。どうやら著者は謎解きよりもスリラーがお得意だったみたいで本書にはパズルの面白さは殆どありません。シリーズ探偵のアルバート・キャンピオンは最後まで自分で謎の種明かしもしませんし偉ぶった所の全くないとても控え目な性格なのですね。第二次世界大戦下のロンドンの自宅にキャンピオンが異国から帰国し帰ると従僕と侯爵夫人が死体を運んで来ます。2023/01/13
翠埜もぐら
16
人の好い貴族のボンボンと、意識的にか無意識にか彼にたかる人々と、息子可愛さにネジのぶっ飛んでるお母さま。しょっぱなドタバタ劇かと思われたのが、何やら美術品骨董品の窃盗が絡んできて嫌な雰囲気に。ボンボンはいいようにされてるのかと思いきや、自分の恋心以外は周りが見えていて最後の最後でちょと見直しました。ここのところ戦時下のロンドンの話をちょこちょこ読む機会があって、戦勝国なのに結構ズタボロでびっくり。しかしキャンピオンってポアロなんかと違って調査する探偵ではなくて、狂言回しなんだなぁ。息子とあえて良かったね。2023/11/12
J・P・フリーマン
3
キャンピオン氏ものの作品。キャンピオン氏の家に死体が運ばれてくるという奇天烈な出だしから始まる。当然キャンピオン氏はこの厄介ごとを警察に任せるのだが、警察からは戦時下での美術品の窃盗事件を聞かされ……。2015/11/07
Zn
2
検屍官は350ページくらいまででてこないよ2023/12/21
senyora
2
次から次へと現れる登場人物。もってまわった言い回し。読み終えるのに少々疲れました。戦時下に美術品などの貴重品を疎開させた話はよく聞きます。それにしても英国の上流階級社会は色々と面倒そう。2019/09/18