内容説明
一つの映画には、その背後に膨大な人間ドラマが横たわっている。舞台裏にいた当事者にしかわからないストーリーである。毒を皿まで食った長い宴は終わった。その毒には、あらゆる成分が詰まっていて、さながら曼荼羅である。銀幕の向こう側に、もう一つのストーリーを描いた曼荼羅絵をかけてみたいと思ったのが本書を執筆する動機だった―。作家・笹倉明が映画に手を出して舐めた、抱腹絶倒の出来事と無残な現実。奇跡的に完成をみた映画の舞台裏の全貌を描きつくした、希有なるドキュメンタリー。
目次
原作という事の始まり
助走から迷走せり
壁また壁を越えて
流れた理由は主演女優
出資から借金への暴走
テーマ曲と主題歌へのこだわり
人脈から人脈への綱渡り
まだ足りない金、金、金
崩壊寸前の現場の出来事
さらに薄氷を踏んで
ふたりの主役の仲と距離
完成を支えた奇跡の中身
加藤登紀子と冬美節のとき
つまずいた公開と破産の憂き目
世にも恐ろしい告訴寸前の事態
地に塗れた日々と父の死
最後の抵抗と再出発
著者等紹介
笹倉明[ササクラアキラ]
1948年、兵庫県生まれ。早稲田大学文学部文芸学科卒。80年、『海を越えた者たち』(すばる文学賞佳作入選)でデビュー。88年『漂流裁判』でサントリーミステリー大賞受賞、89年『遠い国からの殺人者』で直木賞を受賞
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