内容説明
第二帝政の内幕を明かしボナパルティスムの実態を政治家・ウージェーヌの活動を通して照射する政治小説。
著者等紹介
小田光雄[オダミツオ]
1951年静岡県生まれ。早稲田大学卒業。出版社の経営に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
45
一族の出世頭ウージェーヌ・ルーゴンの政治闘争の日々。権力に群がり権力にすがることで利権を得ようとする人々の傲慢さと執着心は凄まじい。その中でもイタリア美女クロランドは強烈に癖が強く、女の武器を盾にしたクロランドとルーゴンの駆け引きは、なかなか生々しい。内務大臣ルーゴンの多忙な日々は政界の裏側を詳細に描き、200年も前の話だけれど、現代でもほとんど変わっていないのではないかと思えるリアルさ。政治家としての才能を持ち、苦労をいとわず、不運にもめげないルーゴン。大物政治家になるのは、なかなか大変なことらしい。2016/07/30
兎乃
24
叢書中、第二帝政下の政治と宮廷を舞台にした唯一の作品。ウージェーヌがパリでナポレオン3世のクーデターに参加 というシャドウ•ワークによって父ピエール•ルーゴンが特別収税史の地位についた、その後の物語。上昇志向•七転びスグ八起きのルーゴン家長男ウージェーヌが繰り広げる政争。ゾラは第二帝政下の政界を告発しつつ、妖艶な美女クロランドを登場させ、宮廷と貴族政治の欺瞞を揶揄する。けっこう 面白く読みました。2014/03/07
ろべると
6
ルーゴン・マッカール叢書9冊目。一族でもっとも出世した政治家ウーゴン。内務大臣にまで登りつめた彼の権勢にすがる取り巻きの面々が、最後の方では失墜した彼から一斉に背を向ける。何とも見苦しいが、今も似たようなものか。でもウーゴンが凄いのは、権力を失っても動じることなく泰然と振る舞い、最後には復活を果たすこと。小人にはできない。ナポレオン3世が結構登場するが、本作は没後3年ほどで出版されており、まだまだ記憶に新しいその治世の雰囲気が伝わってくる。ただこれまでの諸作の中では強い印象を残す作品とは言えなかった。2022/10/14
きりぱい
4
叢書第6巻。2巻で父ピエール・ルーゴンが特別収税史の地位についたが、それはパリにいた長男ウージェーヌがナポレオン3世のクーデターに加わったおかげ。さあそちらはどうなった?とウージェーヌの政界での物語。御大と呼ばれ、内務大臣にまでなったのに、皇帝の失寵確実と見るや、潮が引くように見捨ててゆく取り巻きたち。忘恩と変わり身の早さにぽつんと踏みとどまるウージェーヌに猛烈な虚しさ。飴と鞭、じゃなくて色とムチで狙い撃ってくる美女クロランドを前に、果してルーゴンの血はやられっぱなしなのか?それにしてもクロランドの執念!2011/02/18
うずまき
2
6巻。ルーゴン閣下が失脚したり返り咲いたりする話。 結構ツボにはまったのだが、終章唐突すぎる気がする。 でもある部分ツボすぎて困るなコレは(笑) ボヌール・デ・ダムのドゥニーズとは正反対だけど、コチラも実に魅力的で、私が男だったら跪きたくなるぜ、クロランド…。オクターヴが閣下に似てるってのは何か妙に納得した。2009/03/24