内容説明
少年科学探偵シリーズ、初の集大成!医学者作家が夢を託した科学と勇気を武器にする謎解きの冒険譚!奇妙奇天烈なる犯罪の真相が解剖される。
著者等紹介
小酒井不木[コサカイフボク]
1890(明23)年、愛知県生まれ。別名光次。筆名鳥井零水。東京帝国大学医科大学を卒業後、大学院を経て、17(大6)年、東北帝国大学助教授に就任。衛生学研究の目的で欧米に留学し、20年に帰国するが、健康不良のため退職。回復後、文筆活動をはじめ、『新青年』に評論・随筆を載せるようになった。25年から創作も発表するようになった。作品は、医学的な専門知識を活かしたものが多く、犯罪小説の色彩が強かった。また、ドイツ・北欧系の探偵小説を中心に、海外作品の翻訳紹介も行った。29(昭4)年肺炎のため死去
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
法水
5
小林少年に先立つ少年科学探偵・塚原俊夫シリーズを全篇収録。主人公は小学校を途中で辞めた12歳の天才少年。「科学」とつくだけあって、その捜査方法は科学的で、父親に作ってもらった実験室で事件の謎を解いていく。柔道三段の「お兄さん」こと大野がいわばワトソン的存在で、語り手ともなっている。中では犯人の予想はすぐについたけど、第1作の「紅色ダイヤ」が面白かった。2017/11/10
152
3
少年科学探偵俊夫くんと助手の“兄さん”の関係が微笑ましい。事務所兼実験室っていうのもツボ。読む前は子供向けの科学読み物な作品かと思っていたけれど、結構残忍な殺人事件もあったりして俊夫くんも本格的に探偵していて楽しめた。「頭蓋骨の秘密」「玉振時計の秘密」が特に好き。2013/02/03
硯浦由咲
3
小酒井不木作品は青空文庫にいっぱい入っているので、前から気になっていたけど読むのは初めて。すっごく好きだわぁ!児童向けの探偵小説である、少年科学探偵・塚原俊夫シリーズの全編をまとめた1冊。 ちょっと笑ってしまったのは、「現場の写真」での俊夫くんの、この一言。「いや、僕は近頃、新聞記事というものが、日を経るに従っていよいよ出鱈目になってゆくことを知ったので、自分に依頼されない事件には、立ち入った研究をしないことにしているよ」。新聞記事をどんどん出鱈目にしている責任の一端は、間違いなく俊夫くんにあるやろ2012/05/20
来古
1
類似性を指摘されたことにより中絶となった作品も収録した完全版。指摘された先行作品「空中殺人団」(パウル・ローゼンハイン)も特別収録。2019/01/03
Hisashi Tokunaga
0
「大田文学ってどう」;「闇夜の格闘」に大田区(戦前だから大森区)がステージとして出て来る。都心から車で走った少年科学探偵塚原俊夫君、大森の△△の畑中に西洋造り一軒家に着いた。余りにも遠かったとの感想だ。で、この西洋館に夜分五六人の男が集まって化学実験のようなことをすするとの情報を近所から得た。品川署に連絡をして角袖巡査に見張りを依頼する。(この頃は大森署はなかったのか?)⇒本作品に大田区がちょっと出て来る事で全作品を読むことになったが、図らずも昭和初期の青少年のワクワク感を知ることが出来たように思う。2022/11/20