内容説明
カルトの帝王にしてポップ・カルチャーのアイコン、映画界のアウトサイダーにして巨匠。『イレイザーヘッド』から『ツイン・ピークス The Return』まで、汲み尽くせぬアイデアに始まる妥協なき創造行為の軌跡を辿る。
目次
特定の都市への恐怖
悩ましく暗き物どもの夢―『イレイザーヘッド』の内幕
皮膚の下―『エレファント・マン』の驚くべき真実
迷える宇宙―『デューン/砂の惑星』の苦悩と驚異
わが家に勝る所なし―偉大なる倒錯『ブルーベルベット』
大衆向けのマグリット―『ツイン・ピークス』のテレビ版と映画版の奇妙な事件
オズの国へひた走るエルヴィスとモンロー―『ワイルド・アット・ハート』の逃避行
イン・ザ・ループ―『ロスト・ハイウェイ』を解き明かす
芝刈り機の男―涙腺を刺激する『ストレイト・ストーリー』
気がつけば謎のなか―『マルホランド・ドライブ』の果てしない誘惑
超現実の旅―『インランド・エンパイア』と踊り明かす
きみが好きなあのチューインガム、復活するってさ―『ツイン・ピークス』への待望の帰還
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
29
こうしてリンチの作品を振り返ってみると、世界がいくら変動しようと、リンチ自身にまるでブレがないことがよく理解できる。それは公開当時酷評された作品が、のちに再評価される事態が象徴している。世界が激変しても、自身の作品のスタイルやジャンルが変わろうとも、リンチが描こうとするものに変化はない。「人間は探偵に似ていて、何が起こっているのか、真実は何なのかを知りたがる」とリンチは語る。そんな人間の心理をリンチは巧みに利用しているのだ。けれどリンチは、人が望むたったひとつの真実には興味がない。(つづく)2024/05/27
加瀬しもん
6
楽しかった。デヴィッド・リンチとその映像作品(映画とは呼ばないでおく)に対する著者の愛情と信頼がたっぷり感じられる評伝だった。フィルモグラフィーと著者の分析を通して、リンチという人は、ときたま批判の嵐に落ち込んだりするものの、まったくブレることなく自身のミューズ(それが人だろうと都市だろうと物語だろうと)をとらえて、しっかりと映像作品に落とし込んできたのだとわかった。謎を追っても、謎は解明しない。それがリンチの作品を最高に楽しめる方法だと思う。2024/06/13
ゆたか
2
リンチファン必読書2024/03/09




