内容説明
モンスターや魔術に魅了された幼少期から最新作『ナイトメア・アリー』、『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』に至るまでの歩みと全監督作を解き明かす決定版評伝!映画化を夢見続ける『フランケンシュタイン』、撮影までたどり着けなかった『狂気の山脈にて』、永遠の少年のダークな姿を描く『ピータ・パン』など未完プロジェクトも多数紹介。
目次
イントロダクション
昔々、メキシコで―幼少期と『クロノス』(1993)
トンネルビジョン―『ミミック』(1997)
未完の仕事―『デビルズ・バックボーン』(2001)
血の滾り―『ブレイド2』(2002)
ビッグ・レッド―『ヘルボーイ』(2004)&『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(2008)
通過儀礼―『パンズ・ラビリンス』(2006)
ハイ・コンセプト―『パシフィック・リム』(2013)
フリークハウス―『クリムゾン・ピーク』(2015)
ラブ・アクアティック―『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)
夢を紡ぐ者―『ナイトメア・アリー』(2021)&『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』(2022)
著者等紹介
ネイサン,イアン[ネイサン,イアン] [Nathan,Ian]
映画ライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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どんぐり
73
スリー・アミーゴスの一人、メキシコ人映画監督デル・トロの作品を解説した本。著者は、映画ライターのイアン・ネイサン。モンスター好きの少年だったデル・トロは、1993年に『クロノス』で長編映画デビューし、ダークファンタジーの名作『パンズ・ラビリンス』を生み、2017年には『シェイプ・オブ・ウォーター』でカデミー賞監督賞と作品賞のW受賞を果たした。彼の作品は、ホラーにおとぎ話、SF、ゴシック・ロマンス、アメコミのスーパーヒーローとクリーチャーなどで魔術的映像を魅せてくれる。→2022/06/22
ぐうぐう
32
ほとんどの監督がそうであるように、ギレルモ・デル・トロの軌跡も波乱万丈だ。中でも、ハリウッド進出となった『ミミック』での苦い経験は、本書でその経緯を読むだけで胃が痛くなってくるほどに過酷なものだ。しかし、この苦薬を飲み干したからこそ、デル・トロは自身のスタイルを貫くことでしか監督としての成功はない確信する。こうやって、監督作履歴を、その詳細な制作過程とともに振り返ると、彼の映画にはモンスターへのこだわりが半端ないことが改めて理解できると同時に、(つづく)2022/04/18
ecuas
0
様々に独創的な映画を生み出してきたデル・トロ、ホラーやファンタジーといった一つのジャンルに留まらない混沌とした深い世界観が印象的に感じるが、その根底には幼少時より好きなものをひたすら追求し、雑多に体型的に積み重ねられた膨大な知識があってこそと知る。スクリーンに映る全て、クリーチャーの造形はもちろん、衣装や色調、小道具など細かいもの一つ一つには意味があり、鑑賞しながら感じる感嘆や驚嘆といった気持ちも、その知識を用いてあらかじめ計算されたもの。これからもそんな制作陣の意図に踊らされ、作品を満喫していきたい。2022/07/28