内容説明
人間にとって身近でありながら“他者”でもある犬たち―その豊かな差異に満ちた姿を通すと、世界がより精細に、あざやかに見えはじめる。新鋭の小説家と写真家による犬をめぐる実験的共作!
著者等紹介
太田靖久[オオタヤスヒサ]
小説家/1975年神奈川県生まれ。2010年「ののの」で第42回新潮新人賞を受賞。文芸ZINE『ODD ZINE』を企画編集。古本にオリジナルの創作を載せた帯を付けて販売するブックマート川太郎の店主。Twitterで犬をめぐる自由律俳句を不定期につぶやいているほか、ブログ「いぬの看板」でさまざまな市区町村の犬の看板を紹介している
金川晋吾[カナガワシンゴ]
写真家/1981年京都府生まれ。神戸大学卒業。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。2010年三木淳賞、2018年さがみはら写真新人奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
78
映画館の映写室から見る映画の内、犬が出てくると目が釘付けになる。アキ・カウリスマキ監督『希望のかなた』に出ていたジャック・ラッセル・テリアが監督の愛犬だと知り、自分のカメラを「ジャック」と名付け常時持ち歩いた。妻に「成犬になってもその手の遊びが好きな犬もいれば飽きてしまう犬もいる。」と言われ、離婚した。掲載された写真のワンちゃんたちは一匹一匹個性があり、うるんだ目で何かを訴えているように見える。12のエッセイにはたくさんの犬たちとたくさんの犬が出演する映画が出てくる。「パターソン」のブルドックを見たいな。2021/04/24
pp
1
犬がとにかく可愛い。一時的でも連れ去られたらたまったものではないけど、気持ちはわからなくもない2023/04/10
ズグリーブ
1
犬と映画、写真と小説を組み合わせる企画がすてき。ただ、犬の顔のドアップ写真を見開き2ページに掲載すると本の綴じ目で顔が歪むので、あんまりその割り付けはやらないでほしかった。小説は主人公が妻の家に着ていったシャツのことで責められるくだりが好きだ。しかし、連作短編の一つひとつに1回ずつぐらい、主人公の心の動きが突飛なところがある。一人称小説ならではのおかしみの表現とかでなく、作者は飛躍とも不自然とも思わないから当たり前に書いて自己ツッコミも入れない感じ。ここの感覚が合えば、もっと楽しい本だったのかなと思った。2021/04/30