出版社内容情報
科学は、レイシズムを肯定しない
人種に関わる正しい知識から、
レイシストに「NO」を突きつけよう
アジア人は生まれつき数学が得意、黒人は身体能力が高い、ユダヤ人は金儲けがうまい……
人間の進化と多様性をめぐる議論が活発化している現代において、いまだに世の中には「誉め言葉の皮をかぶった」偏見であふれています。
そして、そうした一見科学的に見える偏見は人種に関するステレオタイプを強化し、人種に優劣を見出す、人種差別の温床にもなっています。レイシストは家系図や遺伝子検査をもとに自らの純血さを誇ってみたり、知能のに優れた人種があるというデータから自らの優位性を高めたり、特定の病気と人種を結びつけたりすることで他の人種は劣ったものだとみなしているのです。
しかし、それは科学的に正しい考え方ではありません。
レイシストは間違ったデータを利用し、疑似科学を用い、差別は科学的に肯定されるとでたらめを言っているのです。
本書では、固定観念や思い込みによって間違いがちな4つの分野(肌の色、純血性、スポーツ、知能)について、科学的な立場から差別や偏見を否定します。
遺伝学が個々の人間の違いについて解明できていること、断定できないことをそれぞれ明らかにすることで、時代遅れの人種に関する観念を力強く解体していくのです。
無邪気なステレオタイプから、より悪意に満ちた言説まで、正しい科学と歴史的な知識に裏付けられた「レイシストの論理をぶち破る」ための方法を、丁寧に解説した1冊です。
内容説明
遺伝学の「わかること」と「わからないこと」から人種差別主義者の論理をぶち破る。
目次
第1章 「色分け」に潜むリスク(「色」で分けられる人びと;「人種」という発明品;遺伝学の誕生;遺伝学は人種をどう見ているのか)
第2章 あなたの祖先は私の祖先(祖先はあいまいなもの;私たちは祖先を共有している;アフリカの途方もない複雑さ;イギリスにおける人種;不確かなルーツ;遺伝子に「国」は刻まれない;レイシストは遺伝学を悪用する)
第3章 黒人アスリートは強い?(身体能力は人種の問題なのか;奴隷制が生み出した偏見;「強い」遺伝子はあるのか;文化というファクター;複雑さを受け入れる;根深く無自覚な偏見)
第4章 知能は遺伝か(人種差別主義者、ジェームズ・ワトソン;IQは変わる;それでも知能は遺伝する?;ユダヤ人は賢いのか;文化を見誤ってはならない)
終章 結論とまとめ
著者等紹介
ラザフォード,アダム[ラザフォード,アダム] [Rutherford,Adam]
遺伝学者、サイエンス・ライター。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで遺伝学を学び博士号を取得。博士課程在籍中は小児の失明の遺伝的原因を初めて突き止めた研究チームの一員だった。科学誌「ネイチャー」の編集やガーディアン紙への寄稿のほか、BBCラジオ4の「Inside Science」をはじめ科学番組の案内役および科学ドキュメンタリーの制作でも活躍。ロンドン在住
小林由香利[コバヤシユカリ]
翻訳家。東京外国語大学英米語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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