内容説明
自身の歩みを振り返った七万字を超える書き下ろしの随筆、自作について語ったインタビュー、教育への思いを綴ったエッセイ、同時代の作家たちを見つめた映画評などにより映画監督諏訪敦彦の信念が浮かび上がる。西島秀俊、三浦友和が諏訪を語る録り下ろしインタビューも収録。
目次
序章 いままでとこれから
第1章 映画を作ったあとで
第2章 教育の現場で
第3章 広島で生まれて
第4章 映画を見たあとに
第5章 撮影の現場で
著者等紹介
諏訪敦彦[スワノブヒロ]
1960年、広島県生まれ。1985年、東京造形大学造形学部デザイン学科卒業。在学中から山本政志や長崎俊一らの作品にスタッフとして参加する。1985年、在学中に制作した『はなされるGANG』が第8回ぴあフィルムフェスティバルに入選。大学卒業後はテレビのドキュメンタリー番組を多数手がける。1997年、『2/デュオ』で商業デビュー。同作はロッテルダム国際映画祭やバンクーバー国際映画祭などで賞を獲得する。その後、1999年制作の『M/OTHER』で第52回カンヌ国際映画祭にて国際批評家連盟賞を受賞し、2005年に制作された『不完全なふたり』では第58回ロカルノ国際映画祭において審査員特別賞と国際芸術映画評論連盟賞を受ける。東京藝術大学大学院映像研究科の映画専攻にて教授を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひかり
5
どんなふうに作って行くのか? ある意味不思議な軌跡が描かれている。「映画はか弱きものの側にある。映画は我らのものである。」「『映画を作るとは、自分のやり方で自分の人生を救うことなんだ』(ゴダールの言葉)」。身近な人と作っていく映画のこと、昨日放送されていたクローズアップ現代で、黒沢清監督が語っていた言葉と響き合う。「二人いれば、世界を変えられるかもしれない」、という。信頼する人が一人でもいれば、一緒に社会に立ち向かえるということ。そんな、最小限の関係性の中から、遠くの人々の心を動かす映画が生まれてくる。2020/09/24
okimam1
2
答え合わせができて嬉しかった。観た時の強烈な違和感。すへてはたむらまさきの才能なのかと思ったが、m/otherは撮影監督違うのか。2022/10/23
TOMYTOMY
2
諏訪さんは映画をメディアとしてるが、どちらかと言えば教育者か哲学者である。 思考をそのまま作品として落とし込むことが他の監督よりは異様。もちろんシネフィルではあるし、評論もちゃんとその辺を踏まえてはいる。しかし、彼のアプローチはそうゆうものからは離れている。ヒロシマ、モナムールを使ったとしてもその狙いは映画史的なものから離れている気がする。2020/04/21
xv08nx
0
最新作「風の電話」の監督、諏訪敦彦の映画監督になるまで、なった後に立ちはだかる壁、人に気に入って貰えるものを撮れるのか、いや撮りたいのか、フィクション或いはドキュメンタリーの名のもとにカメラを向けてよいのか、監督が全て統制することが映画づくりなのか…、気がつけば ''なけなしものでやるしかない'' だけを手がかりに長回し、即興、台本・統制なし、と自分のやり方を人々との出会いによって手にしていく。 諏訪監督が映画へ向き合ってきた全てが詰まっているような本、泣けました。2021/05/10
tiger y
0
撮影現場でゴダールの名前を出したら、「へぇ、あいつアートなんて撮りたがってるのか」と馬鹿にされたという話にとんでもない現場のリアリティを感じた。