内容説明
カリスマ装丁家が読書における想像力の謎に迫る、かつてない「文学×デザイン×現象学」の探究の書物。
目次
「描くこと」を思い描く
フィクション
冒頭
時間
鮮やかさ
演奏
素描する
技
共同創作
地図と規則
抽象
目、錯覚、媒体
記憶と幻想
共感覚
意味しているもの
信念
模型
部分と全体
ぼやけて見える
著者等紹介
メンデルサンド,ピーター[メンデルサンド,ピーター] [Mendelsund,Peter]
ブックデザイナー。アメリカの老舗名門出版社、アルフレッド・A・クノッフ社のアート・ディレクター。『What We See When We Read』は、彼の作家としての初めての著書となる。ニューヨーク在住
細谷由依子[ホソヤユイコ]
出版・映像翻訳者。ファッション誌『zyappu』(光琳社出版)編集部勤務中より数多くのインタビュー通訳、翻訳を手掛け、2000年以降はフリーランスとして出版翻訳、映像制作・翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみぶくろ
111
タイトル通り「本を読むときに(意識下で)何が起こっているのか」という興味深いテーマに切り込んだ本。教科書的な解説ではなく、ビジュアルをふんだんに使っていて、ワークショップに参加しているような雰囲気。実際、本を読んでるときに頭に思い描く「映像」は曖昧模糊としていてとりとめもない。登場人物の鼻の形なんて思い返すことは不可能だ。それでも我々は読んでいるときに確たる「イメージ」を抱いているし、それは自己による個人的な意味や記憶の再構築に最も近いのだろう。白黒はっきりしなくてモヤモヤしつつも、とても示唆に富んだ本。2015/07/16
コットン
68
著者が装幀家らしいので本書の中でも内容理解の補助として視覚的効果が発揮されているのが特徴的。このためフォントの大きさも相まって400ページ超えの作品でもすらすら読めた。 印象に残った言葉は「良い小説は、芯の部分はミステリーだ」だった。2023/12/03
壱萬参仟縁
48
2014年初出。読書と呼ばれる物語(8頁)。写真、スケッチなど多用。初めて本を開く時、あるのは境界的な空間(61頁)。表現手法が漫画チックな感じもする構成であった。文字を追って読むというより、勢いで読ませる、頁を捲らされるという表現がよいのかもしれない。だから、本に操られているということなのかもしれない。読む時、本の語句の意味を解明するために先まわりして考えておかねばならない(94頁)。過去、現在、未来は、意識する瞬間ごとに、読書という行為の流れの中で織り交ざる(108頁)。2015/08/25
hundredpink
43
着眼点が凄い、この発想はなかった。2016/10/29
ヨクト
43
読書という行為が読者にどういうプロセスをさせているのかをあらためて考えさせられるれる内容でした。例えば、登場人物について、写真や絵があるわけでも、事細かな身体的描写があるわけでもないのに、読者はその登場人物について視覚的イメージを生成する。それは十人十色で、作者のイメージともまた異なるかもしれない。その行為が読者の想像力であり、読書の自由度なのである。読書してる自分が凄いなと思える。また、装丁家の方が書いているので、書き方や挿絵配置の仕方、すべてが凝っていて持っているだけでかなりオシャレな本なのです。2015/06/28