内容説明
窓は生きていた。光、風、人を呼び寄せる「窓」のふるまい。ウィンドウスケープへ。
目次
光と風(たまりの窓;にじみの窓;彫刻する窓 ほか)
人とともに(はたらく窓;通り抜けの窓;座りの窓 ほか)
交響詩(連なりの窓;重なりの窓;窓の中の窓)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
46
窓から窓へ風の旅人が渡り歩く。カーテンに微笑みかけ、私の髪を撫でながら挨拶を投げかけてくる。「窓のふるまい学」とは、なんてロマンチックなタイトルなのか。世界の窓を眺める傍らで、擬人化された解説をされると愛くるしくてしょうがない。「学」とついているから小難しい話かと思いきや、そんな心配は無用だった。光と影と風の演奏に身を任せ、そこに佇むだけで良かった。国の数だけ窓の個性もある。風土や宗教を鑑みた、外界との連絡通路。窓は美しきコンシェルジュなのだった。2016/10/31
かさお
36
窓から眺める美しい風景。パラパラめくり和む「どこでも窓」。海外では窓の目的に多様性がある。寒い地方では堅固な石壁に取り付けられた小さな窓から太陽の暖かみが奥まで優しく届く。インドの寺院では、細かな穴が幾つも穿たれた壁に外からの熱い空気が入り込むと、角度で出来る影により冷えた空気を取り込むよう計算されている。イスラム圏では、かつて外出出来なかった女性の為に、美しい花模様や色がついた鉄や石の格子が長方形の穴にはめ込まれている。アジアでは壁自体が引き上げ戸のように上がるものも。窓は日常と非日常を繋ぐ不思議。2022/08/30
アキ
36
表紙のイタリア・ポジターノのラ・シレヌーゼからの景色は、今まで旅してまわった中でいちばんの景色だった!「窓のふるまい」たんなる建築の部位ではない窓のランドスケープとして窓の周辺の景色も含めフィールドワークを行った成果。ユーラシア大陸の南側の海岸線「窓のコーストライン」を中心に最も多様に開発されたという仮説の元、多くの写真とともに分類を試みている。さまざまな窓の佇まいと人々の関わり。日本家屋の影の中の窓。ロンシャン礼拝堂の窓からの光。スリランカ・ジェフェリー・バウの庭と住居の曖昧な境界としての窓など興味深い2018/12/24
爽
10
前にこの本を見つけたときはじっくり読む時間がなかったので、熟読したいと思って。日本人からすると、「窓」といえば四角にガラスがはまっていて開け閉めできるようになっている概念しかないけれど、気候に合わせていたり宗教に準じていたり、様々な形があることそれ自体が驚きだった。日本の一般家庭の家よりも外国の窓の形の方が、外と一緒に生きているような気がする。明り取りのためだけではなくて、光を感じて風を感じて外の空気を楽しむ。Waterstones Booksellers Ltdのような窓が好き。2013/01/29
misui
6
窓を交換可能な部分ではなく環境や人との関わりといった全体の中で捉える。光、風、水、熱など自然のふるまい、あるいは人間のふるまいによって様々な顔を見せる窓のバリエーション。たとえば窓の奥行きを延長すれば窓辺にも部屋にもなるわけで、単純に一要素と片付けることはできない。窓を観察することでそこに生きる人々の姿が浮かび上がってくる。2014/11/10
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