感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
58
薬の行商人・九頭竜が行脚しながらその一方で、裏稼業をこなしていく。非情な場面が多く、殺陣もかなり多め。時代物の劇画としては典型的な内容であるものの、絵のタッチが現代的で軽みがある。主人公の風貌が中性的であったり、柔らかさがあって垢抜けた感じがするのが特徴。連作長編といった構成で各話面白いが、中盤から旅の本当の目的がクローズアップされるとさらにブーストが掛かる。真相に迫る展開には気が入るし、九頭竜を追う側が狡猾かつ強いので迫力が出た。単行本3冊分を一気読みできるのも、こういうコンビニコミックの醍醐味かもね。2020/06/05
D4C
3
人間の業が、オムニバスで描かれていく。薬売りをしながら、厄を買い、その恨みを晴らす。これだけ聞くと、勧善懲悪かと思うかもしれませんが、なかなかに、人間の醜い欲が描かれていて面白い。ミステリアスな主人公の過去が徐々に明らかになりつつも、毎回描かれる人間模様。石ノ森章太郎原作、というだけで買ったけれど、思いのほか楽しめました。2020/09/14